50MHz用ワイヤーダイポールアンテナを作る
アマチュア無線で使う50MHz帯用のワイヤーダイポールアンテナを作った話。
JQ7EAH局を開局して7ヶ月。最初に買ったハンディ機ID-52に続き、オールモード機IC-7100も購入しました。IC-7100は50MHzも使用できるため、それ用に第一電波工業(ダイヤモンドアンテナ)のHF6FXを購入しましたが、自室の位置関係などからあまり遠くまで飛びません。
それならせめてフルサイズのアンテナを作ってみようということで、ダイポールアンテナを自作しました。
材料
部品名 | 規格・品番 | 用途 | 購入元 |
---|---|---|---|
ポリウレタン銅線 | 2UEW | ソーターバラン | 秋月電子通商 |
トロイダルコア | FT-50#43 | ソーターバラン | 秋月電子通商 |
プラスチックケース | SW-75B | 接続箱 | 秋月電子通商 |
なべネジ(ワッシャー、ばね座金付) | M3×10 | コネクタ取付、アンテナ取付 | カインズ |
六角ナット | M3 | コネクタ取付、アンテナ取付 | カインズ |
M型コネクター | メス 4穴パネル取付用 角座 | 同軸ケーブル接続 | 秋月電子通商 |
変換コネクター | MP-MP | 同軸ケーブル接続 | Empire(Amazon.co.jp) |
銅撚り平行線 | 0.5sq | 空中線 | カインズ |
圧着端子 | R1.25×3 | 空中線 | カインズ |
備考
- ポリウレタン銅線やトロイダルコアは必ずしも上記の規格ではなくても良い?(後述の参考サイトにあったものを選定しました)
- 銅より線は平行線(2本の銅線がくっついている)の方が、切り出しの際に2本分まとめて切れるので楽かもしれない。
- 銅より線は送信出力が低ければ0.5sqより細くても大丈夫だが、吊り下げで使用する場合に断線の恐れあり。また出力が高いと熱で皮膜が溶ける可能性もあります。弊局は吊り下げ式であることと50Wであることを考慮して0.5sqにしています。
- プラスチックケースは、同軸コネクターが取り付けられるだけの大きさのあるものが良いです。
- なべネジは、M型コネクターの取り付け穴に合うものを使っています。使用するコネクターの取り付け穴にあったものを使ってください(ナットも同様)。
- なべネジは圧着端子を使用したアンテナ線の接続にも使用しています。
- 圧着端子とアンテナ線のカシメ部に熱収縮チューブを使用すると、仕上がりが綺麗になります。
- 変換コネクターは、使用する環境で要不要が変わります。弊局ではMLJ-MPケーブルを使用しており、アンテナ側にはMP(メス)が出ています。そのため購入したM型コネクターではメス-メスとなってしまい接続できなくなります。MJ(オス)の取り付け用を探しましたが見つからなかったので、変換コネクターを噛ませています。
製作
バランの作成
ポリウレタン銅線を2本切り出し、より線にします。私はピンバイスに銅線を噛ませて転がしてより線にしました。
このより線をフェライトコアに5〜6回巻きます。だいたいフェライトコア半周に巻ければOKです。
より線の両端はヤスリで皮膜を剥いておきます。
ボックスの加工
ピンバイスやドリルを用いてプラスチックケースを加工します。私は3mmのピンバイスを使って、ケースの両側に1個ずつ(アンテナ線接続用)、下側にM型コネクター取り付け用の穴を開けます。コネクター用の穴はドリルを使うと楽です(ピンバイスでも頑張れば開けられる)。
M型コネクターはM3ねじとナットで固定します。またケースの両側にはねじを通します。
はんだ付け
バランをケース内に入れ、一端をM型コネクターに、もう一端をケース両側のねじにはんだ付けします。極性は気にしなくて大丈夫です。
こんな感じ。
アンテナ線の製作
50MHzは1波長が300/50=6m、ダイポールアンテナは片側が1/4波長なので6/4=1.5m。なので銅撚り平行線を1.5mで切り出し、割いて2本にします。一端は圧着端子に通し、圧着工具で圧着します。もう一端から熱収縮チューブを通し、圧着部をドライヤーで熱して保護します。圧着端子はケース両側に付けたねじに通し、ナットで接続します。
調整
アンテナ線をベランダの上にくくりつけてぶらさげ、同軸ケーブルを無線機に接続して調整を行います。最初、V字角を90度程度にしていたのですが、SWRが4〜5の間を行ったり来たりで全く同調が取れない。「秋葉原無線部」の皆様に聞いたところ、V字角を広げてみるとよいとのことだったので、広げてみるとSWRが下がりました。
上記の通り50MHzは1/4波長が1.5mですが、実際には短縮率の関係でアンテナ線はこれよりもう少し短くなります。なので最初はアンテナ線が相対的に長くなり、同調周波数は50MHzよりも下になっているはずです。そのため同調周波数が自分の目的の周波数になるようアンテナ線を切り詰めていくのですが、自分の場合は切り詰めすぎて同調周波数が51MHz付近になってしまいました。FT8周波数である50.313MHzはSWRが2〜3となり、これでは使いにくい。これまた「秋葉原無線部」に聞いたところ、「アンテナ線の先に伸ばしたクリップを挿せば同調周波数が下がるよ」というアドバイスが。「ほんとか〜」と疑心暗鬼になりながら(失礼)試してみると、同調周波数が下がり、50.313MHzでも問題なく交信できるSWRになりました。クリップを抜けば「バンドプラン:全電波型式」のところにも出れますから、結果的にはよかったかもしれないです。
運用
調整したアンテナを使用してFT8をやってみたところ、40Wで宮城県及び周辺自治体の各局のほか、台湾、オーストラリア、フィリピン、ベトナム、ノーフォーク島、グアム、ハワイまで届きました(50Wだと回り込みでJTDXが落ちる フェライトコアをUSBケーブルや同軸ケーブルに入れたことで50Wでも回り込みが発生しなくなりました)。PSKReporterをみると国内でも北海道や九州、海外でも中国やロシアには届いている模様。ただ、弊局の立地条件として「アンテナ線がほぼ南北に伸びている」「アンテナのすぐ西側に私の居室があり西には視界が開けていない」というのがあるため、関東や関西といった日本列島の伸びる方向では交信しにくいのかもしれません。また使い始めたのが9月だったので、今年は50MHzシーズンの春〜秋にどれだけ交信できるか挑戦してみようと思います。
また、移動用でHF/50MHz機のFT-891Mを買った他、別に50MHzダイポールを作りました。こっちはまだ運用試験をしていないので、終わったらまた製作記を書きたいと思います。
謝辞
製作に際しアドバイス頂いた「秋葉原無線部」の皆様、ありがとうございました。
参考サイト
- mk1502(ソーターバランの作り方)
- PSKReporter(FT8等のデジタル交信がどこまで届いてるかわかるサイト)
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