国鉄・JRの懐中時計(19セイコー)

2025年7月11日

放出品市などで売られている国鉄・JRの懐中時計をぼちぼち集めている。しかしそれらの見た目や違いについて自分なりにまとめていなかったので、備忘録を兼ねて書き残しておく。

なお各モデルの解説は、ほぼ「参考資料」の受け売りです。先人の知恵に感謝。


機械式

9119-0020T(機械式15石)

昭和35年(1960年)から昭和46年(1971年)まで製造されていた9119シリーズのうち、昭和38年(1963年)以降に製造された後期モデル。9119シリーズにはこれ以外にも、前期モデルの「9119-0010T」、日本電信電話公社(現 NTT)の電話交換手等が使用していた「9119-0030T」(秒針部が10秒毎に塗り分けされている)、大型ケースの「9119-0040T」、韓国鉄道庁専用文字盤の「9119-0050T」といったバリエーションがある・・・らしい。

振動数は18000振動/時(5振動/秒)。

(前面)

SEIKO
PRECISION
15 JEWELS
SECOND SETTING DIAFLEX
JAPAN 9119-0020T
秒針が独立した「中2針」と呼ばれるモデル。秒針のみが青い針(ブルースチール)となっている。

(裏蓋)
昭44
1305
北支
「昭和44年 1305番 北海道支社」の意味と思われる。
(注:国鉄の地方機関は1957年から1970年まで支社制を取っていた。1970年からは北海道総局)

(ムーブメント)
15 JEWELS
SEIKOSHA
 
仕上げの関係か、光の当たり方で縞模様が浮き出る。

(裏蓋内面)
7 (27/5)及
ACRP
91-0020
9400546
JAPAN
A
手書きされたものの内容は不明

 

(前面)

別の9119-0020T。
こちらの秒針は黒い針となっている。
 
(裏蓋)
 

(ムーブメント)
こちらは光があたっても縞模様が出ない。

(裏蓋内面)
ACRP
91-0020
8******
JAPAN
A

 

6110-0010T(機械式21石)

昭和47年(1972年)から昭和53年(1978年)まで製造されていたモデル。9119シリーズから変わり、時・分・秒が同一軸にある「中三針」に変わった。また竜頭が9119シリーズよりも小型化し、巻き上げに必要な力も少なくなった。

(前面)

SEIKO
PRECISION
21 JEWELS
SECOND SETTING
(諏訪精工舎ロゴ)
JAPAN 6110-0010T
時・分・秒が同一軸にある「中三針」と呼ばれるモデル。

(裏蓋)
裏蓋には何も刻印がない。

(ムーブメント)
SEIKO
6110A
21 JEWELS
JAPAN
9119シリーズに比べると明らかに小型化している。

(裏蓋内面)
ACRP
6110-0010
3*****
JAPAN
A

 

6310-0020T(機械式21石)

昭和53年(1978年)から昭和55年(1980年)まで製造された6310シリーズのうち、21石のモデル。0010T(17石)と分けたのは、かつてアメリカが18石以上の時計に対して高い輸入関税を課していたためだろうか。

(前面)

SEIKO
PRECISION
21 JEWELS
SECOND SETTING
(諏訪精工舎ロゴ)
JAPAN 6110-0010T
6110シリーズと同じ「中三針」である。
 
(裏蓋)
 

(ムーブメント)
SEIKO
21 JEWELS
6310A
JAPAN
 

(裏蓋内面)
ACRP
6310-0010
8*****
JAPAN
A
裏蓋は0010Tと共通の模様。

(未所持だが、中3針17石の6310-0010T、中3針21石で電話交換手用の6310-0030Tがあるらしい。)

機械式の比較(編集中)

  前期9119-0020T 後期9119-0020T 6110-0010T 6310-0010T 6310-0020T
石数 15石 15石 21石 17石 21石
時針 2針+秒針 2針+秒針 3針 3針 3針
秒針規正 60秒で固定1 60秒で固定 即時固定2 即時固定 即時固定
竜頭 楕円形 円筒 円筒(9119より小型)
ボウ3 楕円形 円形 円形 円形 円形
           
           

クオーツ式

7550-0010T(クオーツ式5石)

昭和53年(1978年)から製造されたクオーツモデル。6時方向にクオーツマークと諏訪精工舎のロゴが入る。


(前面)
SEIKO
QUARTZ
(クオーツマーク)
(諏訪精工舎ロゴ)
JAPAN 7550-0010 T

(裏蓋)
大鉄
HE 0519
SEIKO
470310
7550-0010 ACRP
JAPAN A
(諏訪精工舎ロゴ)
1978年以降製造なので「大鉄」は「大阪鉄道管理局」を意味すると思われる。上記「北支」と異なり貸与年の記載がない。「HE 0519」の意味は不明。
9119シリーズでは裏蓋内面に刻印されていたモデルやシリアル番号の記載が表面に移った。

(ムーブメント)
FIVE 5
JEWELS
SEIKO
QUARTZ
JAPAN

(裏蓋内面)
6312
NTA
LR43

 

7C11-0010T(クオーツ式7石)

前面のクオーツ記載がなくなったほか、7550シリーズからムーブメントの石数が増加している。


(前面)
SEIKO
JAPAN 7C11(諏訪精工舎ロゴ)0010 T
モデル記載のハイフンが諏訪精工舎ロゴに。

(裏蓋)
平成元年
054
JR 盛岡
SEIKO
823897
7C11-0010[B7]ACRP
JAPAN A
(諏訪精工舎ロゴ)
「平成元年貸与 054番 JR東日本東北地域本社盛岡支店4」の意味と思われる。

(ムーブメント)
SEIKO
SEVEN (7) JEWELS
JAPAN
7C11A

(裏蓋内面)
記載無し

 

 

7C11-0020T(クオーツ式7石)

7C11-0010Tのマイナーチェンジモデルと思われる。


(前面)
SEIKO
(JR東日本ロゴ)
JAPAN JR-EAST
6時方向のモデル記載が消滅し、代わりにJR-EASTの記載が入った。

(裏蓋)
平成4年
151
JR東日本東北
SEIKO
312649
7C11-0020[B7]BASE METAL
JAPAN SE (A8)
(諏訪精工舎ロゴ)
「平成4年貸与 151番 JR東日本東北地域本社5」の意味と思われる。
9119シリーズ以来入っていた諏訪精工舎ロゴが入らなくなっている。

(ムーブメント)
SEIKO
SEVEN (7) JEWELS
JAPAN
7C11A
7C11-0010Tと記載に変わりはない。

(裏蓋内面)
記載無し

 

参考資料

脚注

  1. 竜頭を引いても秒針は動き続け、60秒の地点で固定される。
  2. 竜頭を引いた時点で固定される。
  3. チェーンや紐をつける環状部のこと。
  4. 現在の盛岡支社。
  5. 以前の仙台支社、現在の東北本部。

Posted by Michinoku-Lab