アマチュア無線機の筐体を開けただけでは技適は無効になりません。

一部で言われている「技適のついたアマチュア無線機は、筐体を開けると技適が無効になる」という論。

送信系統を弄るのであればともかく、筐体を開けただけであったりメモリー保持用の内蔵電池を交換するだけでも技適は無効になってしまうのだろうか。

(以下、特に記載がなければアマチュア無線に関係する条文のみを抜粋して掲載する。また、「アマチュア固定局」は「移動しないアマチュア局」を、「アマチュア移動局」は「移動するアマチュア局」を、「アマチュア人工衛星局」は「人工衛星に開設するアマチュア局」を、「アマチュア地球局」は「人工衛星に開設するアマチュア局の無線設備を遠隔操作するアマチュア局」を、それぞれ意味する。)

電波法

電波法令の根幹を成す電波法(昭和25年法律第131号。以下「法」)には以下のような規定がある。

第二章 無線局の免許等

第一節 無線局の免許

(無線局の開設)
第四条 無線局を開設しようとする者は、総務大臣の免許を受けなければならない。ただし、次に掲げる無線局については、この限りでない。

二 二十六・九メガヘルツから二十七・二メガヘルツまでの周波数の電波を使用し、かつ、空中線電力が〇・五ワット以下である無線局のうち総務省令で定めるものであつて、第三十八条の七第一項(第三十八条の三十一第四項において準用する場合を含む。)、第三十八条の二十六(第三十八条の三十一第六項において準用する場合を含む。)若しくは第三十八条の三十五又は第三十八条の四十四第三項の規定により表示が付されている無線設備(第三十八条の二十三第一項(第三十八条の二十九、第三十八条の三十一第四項及び第六項並びに第三十八条の三十八において準用する場合を含む。)の規定により表示が付されていないものとみなされたものを除く。以下「適合表示無線設備」という。)のみを使用するもの

(免許の申請)
第六条 無線局の免許を受けようとする者は、申請書に、次に掲げる事項(前条第二項各号に掲げる無線局の免許を受けようとする者にあつては、第十号に掲げる事項を除く。)を記載した書類を添えて、総務大臣に提出しなければならない。
(簡易な免許手続)
第十五条 第十三条第一項ただし書の再免許及び適合表示無線設備のみを使用する無線局その他総務省令で定める無線局の免許については、第六条(第八項及び第九項を除く。)(編注:免許申請及び局種別に追加で必要となる申請事項に関する規定)及び第八条から第十二条までの規定(編注:予備免許、工事設計変更、落成検査、免許拒否、免許付与のこと)にかかわらず、総務省令で定める簡易な手続によることができる。
第三章 無線設備
(電波の質)
第二十八条 送信設備に使用する電波の周波数の偏差及び幅、高調波の強度等電波の質は、総務省令で定めるところに適合するものでなければならない。
(受信設備の条件)
第二十九条 受信設備は、その副次的に発する電波又は高周波電流が、総務省令で定める限度をこえて他の無線設備の機能に支障を与えるものであつてはならない。
(安全施設)
第三十条 無線設備には、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えることがないように、総務省令で定める施設をしなければならない。
(周波数測定装置の備えつけ)
第三十一条 総務省令で定める送信設備には、その誤差が使用周波数の許容偏差の二分の一以下である周波数測定装置を備えつけなければならない。
(その他の技術基準)
第三十八条 無線設備(放送の受信のみを目的とするものを除く。)は、この章に定めるものの外、総務省令で定める技術基準に適合するものでなければならない。
 
第三章の二 特定無線設備の技術基準適合証明等

第一節 特定無線設備の技術基準適合証明及び工事設計認証

(登録証明機関の登録)
第三十八条の二の二 小規模な無線局に使用するための無線設備であつて総務省令で定めるもの(以下「特定無線設備」という。)について、前章に定める技術基準に適合していることの証明(以下「技術基準適合証明」という。)の事業を行う者は、次に掲げる事業の区分(次項、第三十八条の五第一項、第三十八条の十、第三十八条の三十一第一項及び別表第三において単に「事業の区分」という。)ごとに、総務大臣の登録を受けることができる。(以下略)
(技術基準適合証明等)
第三十八条の六 登録証明機関は、その登録に係る技術基準適合証明を受けようとする者から求めがあつた場合には、総務省令で定めるところにより審査を行い、当該求めに係る特定無線設備が前章に定める技術基準に適合していると認めるときに限り、技術基準適合証明を行うものとする。(以下略)
(表示)
第三十八条の七 登録証明機関は、その登録に係る技術基準適合証明をしたときは、総務省令で定めるところにより、その特定無線設備に技術基準適合証明をした旨の表示を付さなければならない。
2 適合表示無線設備を組み込んだ製品を取り扱うことを業とする者は、総務省令で定めるところにより、製品に組み込まれた適合表示無線設備に付されている表示と同一の表示を当該製品に付することができる。
3 何人も、第一項(第三十八条の三十一第四項において準用する場合を含む。)、前項、第三十八条の二十六(第三十八条の三十一第六項において準用する場合を含む。)、第三十八条の三十五又は第三十八条の四十四第三項の規定により表示を付する場合を除くほか、国内において無線設備又は無線設備を組み込んだ製品にこれらの表示又はこれらと紛らわしい表示を付してはならない。
4 第一項(第三十八条の三十一第四項において準用する場合を含む。)、第三十八条の二十六(第三十八条の三十一第六項において準用する場合を含む。)若しくは第三十八条の三十五又は第三十八条の四十四第三項の規定により表示が付されている特定無線設備の変更の工事をした者は、総務省令で定める方法により、その表示(第二項の規定により適合表示無線設備を組み込んだ製品に付された表示を含む。)を除去しなければならない。
 
(特定無線設備の工事設計についての認証)
第三十八条の二十四 登録証明機関は、特定無線設備を取り扱うことを業とする者から求めがあつた場合には、その特定無線設備を、前章に定める技術基準に適合するものとして、その工事設計(当該工事設計に合致することの確認の方法を含む。)について認証(以下「工事設計認証」という。)する。
2 登録証明機関は、その登録に係る工事設計認証の求めがあつた場合には、総務省令で定めるところにより審査を行い、当該求めに係る工事設計が前章に定める技術基準に適合するものであり、かつ、当該工事設計に基づく特定無線設備のいずれもが当該工事設計に合致するものとなることを確保することができると認めるときに限り、工事設計認証を行うものとする。(以下略)
(認証工事設計に基づく特定無線設備の表示)
第三十八条の二十六 認証取扱業者は、認証工事設計に基づく特定無線設備について、前条第二項の規定による義務を履行したときは、当該特定無線設備に総務省令で定める表示を付することができる。

ここで、

  • 電波の質やその他の技術基準は、総務省令で定める基準に適合していなければならない。(法3章)
  • 総務省令で定める「特定無線設備」は、法第三章に定める技術基準に適合していれば、技術基準適合証明又は工事設計認証を受けることができる。(法3章の2第1節)
  • 技術基準適合証明、工事設計認証を受けた特定無線設備は、「適合表示無線設備」として扱われる。(法4条2号)
  • 無線局を開設する場合は原則として免許を受けなければならず(法6条)、また予備免許や工事落成検査等が必要となる(法8条から12条)が、適合表示無線設備のみを使用する局は簡易な免許手続により、予備免許等を省略して免許が付与される。(法15条)
  • 適合表示無線設備の変更の工事を行った場合は、技適マークを除去しなければならない。(法38条の7第4項)

といったことが定められていることがわかる。

法で定められている事項の詳細については、下位法令である政令や府省令で定められている。

 

特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則

法で規定されていた技術基準適合証明や工事設計認証の詳細については、特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則(昭和56年郵政省令第37号。以下「証明規則」)でその詳細が定められている。

(特定無線設備等)
第二条 法第三十八条の二の二第一項の特定無線設備は、次のとおりとする。

(略)

十二 アマチュア局(人工衛星に開設するアマチュア局及び人工衛星に開設するアマチュア局の無線設備を遠隔操作するアマチュア局を除く。)に使用するための無線設備であつて、その空中線電力が五〇ワット以下(五四MHz以下の周波数の電波を使用するものについては、二〇〇ワット以下)のもの

(表示の除去)
第八条の二 前条第一項第一号、第二十条第一項第一号、第二十七条第一項第一号、第三十六条第一項第一号及び第四十一条第一項第一号に規定する方法により付した表示についての法第三十八条の七第四項の総務省令で定める方法は次のとおりとする。

一 表示の外観が残らないように完全に取り除くこと。
二 容易にはく離しない塗料により表示を識別することができないように被覆すること。

2 前条第一項第二号及び第三号、第二十条第一項第二号及び第三号、第二十七条第一項第二号及び第三号、第三十六条第一項第二号及び第三号並びに第四十一条第一項第二号及び第三号に規定する方法により付した表示についての法第三十八条の七第四項の総務省令で定める方法は、当該表示を記録した電磁的記録を消去する方法、当該表示を付した特定無線設備の映像面の表示機能を失わせる方法その他の前条第一項第二号及び第三号、第二十条第一項第二号及び第三号、第二十七条第一項第二号及び第三号、第三十六条第一項第二号及び第三号並びに第四十一条第一項第二号及び第三号に掲げる特定の操作によつて当該表示を映像面に表示することができないようにする方法とする。

ここで、アマチュア人工衛星局及びアマチュア地球局以外のアマチュア局で、144MHz帯未満では200W以下、144MHz帯以上では50W以下の無線設備が特定無線設備になることが規定されている。これ以外の無線設備(144MHz帯未満で200Wを超えるもの、又は144MHz帯以上で50Wを超えるもの)は特定無線設備から除外され、よって技術基準適合証明や工事設計認証の対象でもなくなる。

また法38条の7第4項で規定されている技適マークの除去方法が、8条の2で定められている。

 

無線局免許手続規則

筐体を開けて良いか否かという話からは逸れるが、技術基準適合証明は免許手続にも関係しているため掲載する。

無線局に対する免許手続についてその詳細を定めているのが、無線局免許手続規則(昭和25年電波監理委員会規則第15号。以下「免則」)である。

(適合表示無線設備使用無線局の免許手続の簡略)
第十五条の四 総務大臣又は総合通信局長は、法第七条の規定により適合表示無線設備のみを使用する無線局(宇宙無線通信を行う実験試験局を除く。)の免許の申請を審査した結果、その申請が同条第一項各号又は第二項各号に適合していると認めるときは、電波の型式及び周波数、呼出符号(標識符号を含む。以下同じ。)又は呼出名称、空中線電力並びに運用許容時間を指定して、無線局の免許を与える。
2 第八条第二項の規定は、前項の申請につき無線局の免許を与えた場合に準用する。
3 法第八条に規定する予備免許、法第九条に規定する工事設計の変更、法第十条に規定する落成後の検査及び法第十一条に規定する免許の拒否の各手続は、第一項の免許については、適用しない。

(遭難自動通報局等の免許手続の簡略)
第十五条の五 総務大臣又は総合通信局長は、法第七条の規定により次に掲げる無線局の免許の申請を審査した結果、その申請が同条第一項各号又は第二項各号に適合していると認めるときは、電波の型式及び周波数、呼出符号又は呼出名称、空中線電力並びに運用許容時間を指定して、無線局の免許を与える。

一 遭難自動通報局であつて、第十五条の三第三項の規定により工事設計書の一部の記載を省略することができるもの

二 アマチュア局(人工衛星等のアマチュア局を除く。)であつて、適合表示無線設備その他の総務大臣が別に告示する無線設備のみを使用するもののうち、当該無線設備の送信機に附属装置(当該送信機の外部入力端子に接続するものであつて、当該接続により当該送信機に係る無線設備の電気的特性(電波の型式に係るものを除く。)に変更を来さないものに限る。)を接続するもの

三 前二号以外の無線局であつて、総務大臣が別に告示するもの

2 第八条第二項の規定は、前項の申請につき無線局の免許を与えた場合に準用する。

3 法第八条に規定する予備免許、法第九条に規定する工事設計の変更、法第十条に規定する落成後の検査及び法第十一条に規定する免許の拒否の各手続は、第一項の免許については、適用しない。

電波法の部分でも挙げたが、適合表示無線設備のみを使用する無線局の免許は、法7条1項又は2項に適合していれば、与えられる。また、アマチュア人工衛星局・アマチュア地球局以外のアマチュア局で、適合表示無線設備や総務大臣告示に掲げる無線設備のみを使用する場合で、無線設備の電気的特性に変更を来さない附属装置(アマチュア局特定附属装置)を接続するものも、同様に免許が与えられる。

15条の5第1項2号に「適合表示無線設備その他の総務大臣が別に告示する無線設備」は、次の大臣告示で定められている。

無線局免許手続規則(昭和二十五年電波監理委員会規則第十五号)第十五条の五第一項第二号の規定に基づき、同号に規定するアマチュア局の無線設備を次のとおり定め、令和五年九月二十五日から施行する。

一 適合表示無線設備

二 空中線電力二〇〇ワット以下の無線設備であって、総務大臣が別に定めるところにより公示する者による、総務大臣が別に定める手続に従って行った法第三章の技術基準に適合していることの保証を受けたもの

無線局免許手続規則第十五条の五第一項第二号に規定するアマチュア局の無線設備(令和5年総務省告示第78号)

 

無線設備規則

各種無線局の無線設備が備えるべき条件を定めているのが、無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則第18号)である。

(周波数の安定のための条件)
第十五条 周波数をその許容偏差内に維持するため、送信装置は、できる限り電源電圧又は負荷の変化によつて発振周波数に影響を与えないものでなければならない。
3 移動局(移動するアマチュア局を含む。)の送信装置は、実際上起り得る振動又は衝撃によつても周波数をその許容偏差内に維持するものでなければならない。
(通信速度)
第十七条 手送電鍵操作による送信装置は、その操作の通信速度が二五ボーにおいて安定に動作するものでなければならない。
2 前項の送信装置以外の送信装置は、その最高運用通信速度の一〇パーセント増の通信速度において安定に動作するものでなければならない。
3 アマチュア局の送信装置は、前二項の規定にかかわらず、通常使用する通信速度でできる限り安定に動作するものでなければならない。
(変調)
第十八条 送信装置は、音声その他の周波数によつて搬送波を変調する場合には、変調波の尖頭値において(±)〔原文ママ〕一〇〇パーセントをこえない範囲に維持されるものでなければならない。
2 アマチュア局の送信装置は、通信に秘匿性を与える機能を有してはならない。

上記以外にも占有周波数帯幅やスプリアス発射等の規定はあるが、それ以外の一般的な部分は以上である。アマチュア局関係で無線設備の筐体に関する記載は一切ない。

逆に他の局種では筐体に関する記載がある。例えば特定小電力無線局では、

(特定小電力無線局の無線設備)
第四十九条の十四 特定小電力無線局の無線設備は、次の各号の区別に従い、それぞれに掲げる条件に適合するものでなければならない。

一 七三・六MHzを超え一、二六〇MHz以下(一四二・九三MHzを超え一四二・九九MHz以下、一四六・九三MHzを超え一四六・九九MHz以下、三一二MHzを超え三一五・二五MHz以下、四〇一MHzを超え四〇六MHz以下、四三三・六七MHzを超え四三四・一七MHz以下及び九一五・九MHz以上九二九・七MHz以下を除く。)の周波数の電波を使用するもの

イ 一の筐体に収められており、かつ、容易に開けることができないこと。ただし、電源設備、制御装置その他総務大臣が別に告示する装置については、この限りでない。

となっている。また簡易無線局でも同様に、

(簡易無線局の無線設備)
第五十四条 簡易無線局の無線設備は、次の各号の区別に従い、それぞれに掲げる条件に適合するものでなければならない。

(略)

二 一五〇MHz帯の周波数の電波を使用する簡易無線局(前号に掲げるものを除く。)又は四〇〇MHz帯の周波数(三三五・四MHzを超え四七〇MHz以下の周波数をいう。)の電波を使用する簡易無線局(次号及び第二号の三に掲げるものを除く。)

(略)

ハ 一の筐体に収められており、かつ、容易に開けることができないこと。ただし、電源設備、送話器、受話器その他総務大臣が別に告示するものについては、この限りでない。

と定められている。

しかしいずれの場合も「送信系統や受信系統は1つの筐体内に収められていること」「容易に開けることができないこと(=外装には特殊ネジを用いること)」といったことは書かれているものの、筐体を開けること自体には制限が設けられていない。

これは当たり前と言えば当たり前である。例えば、時間や周波数を登録しているメモリーを保持するための電池を交換するには一般に筐体を開けなければならないが、これが認められなければ電池交換をすることさえままならないからだ。また上記は無線設備としての一般事項を定めているもので、技術基準適合証明に関することではない。

アマチュア局から話が逸れてしまったが、いずれにせよアマチュア局の無線設備についての記載はないため、筐体を開けることは問題がないことには変わらない。

 

そもそも・・・

そもそもアマチュア無線技士は、アマチュア局の無線設備に対する技術操作が認められている。政令の電波法施行令(平成13年政令第245号)では、

(操作及び監督の範囲)
第三条 次の表の上欄に掲げる資格の無線従事者は、それぞれ、同表の下欄に掲げる無線設備の操作(アマチュア無線局の無線設備の操作を除く。以下この項において同じ。)を行い、並びに当該操作のうちモールス符号を送り、又は受ける無線電信の通信操作(以下この条において「モールス符号による通信操作」という。)及び法第三十九条第二項の総務省令で定める無線設備の操作以外の操作の監督を行うことができる。
(略)
3 次の表の上欄に掲げる資格の無線従事者は、それぞれ同表の下欄に掲げる無線設備の操作を行うことができる。(編注:法令公布の大元である官報の掲載では、下表を90度右回転し縦書きで掲載している。)

資格 操作の範囲
第一級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の無線設備の操作
第二級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の空中線電力二百ワット以下の無線設備の操作
第三級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の空中線電力五十ワット以下の無線設備で十八メガヘルツ以上又は八メガヘルツ以下の周波数の電波を使用するものの操作
第四級アマチュア無線技士 アマチュア無線局の無線設備で次に掲げるものの操作(モールス符号による通信操作を除く。)
一 空中線電力十ワット以下の無線設備で二十一メガヘルツから三十メガヘルツまで又は八メガヘルツ以下の周波数の電波を使用するもの
二 空中線電力二十ワット以下の無線設備で三十メガヘルツを超える周波数の電波を使用するもの

としている。無線設備の操作には「通信操作」と「技術操作」があるが、上表で単に「操作」とある場合はこの両者が包含される。

第二級陸上特殊無線技士

一 次に掲げる無線設備の外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作

イ 受信障害対策中継放送局及びコミュニティ放送局の無線設備

ロ 陸上の無線局の空中線電力十ワット以下の無線設備(多重無線設備を除く。)で千六百六・五キロヘルツから四千キロヘルツまでの周波数の電波を使用するもの

ハ 陸上の無線局のレーダーでロに掲げるもの以外のもの

ニ 陸上の無線局で人工衛星局の中継により無線通信を行うものの空中線電力五十ワット以下の多重無線設備

二 第三級陸上特殊無線技士の操作の範囲に属する操作

ー 電波法施行令3条1項表より抜粋

そしてアマチュア無線技士には、例えば上の第二級陸上特殊無線技士にある「外部の転換装置で電波の質に影響を及ぼさないものの技術操作」といった制限がない。つまり、無線設備の変更申請の要否は別として、アマチュア無線技士は自由に技術操作を行うことができるのである。

また、送信系統の部品(抵抗器やコンデンサー、半導体など)は、同じ品番のものに変更したのであれば、電波の質や電気的特性には影響しないため、技適マークが無効になることはなく、無線設備の変更申請を行う必要もない。このことは、法38条の7第4項や、私が東北総合通信局に対して行った質問への回答からも明らかである。

アマチュア無線の送信装置(無線機)について質問です。
インターネット等一部では、技適マークの付された無線機はたとえ内臓のメモリー記憶用電池を交換する場合であっても、筐体を開けた時点で技適マークが無効になるという発言が見られます。
しかし「特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則」や「無線設備規則」ではアマチュア無線機に関する詳細な記載が見当たりませんでした。
ここで、「技適マーク」の付されている無線機(アマチュア無線機、特定小電力トランシーバー、簡易無線機など)は、たとえ送信系統の電気的特性や電波の質に影響を及ぼさないような行為(単に無線機の筐体を開ける、内臓のメモリー記憶用電池を交換する)であっても、技適マークは無効となるのでしょうか。もし無効となるのであれば、これを規定する法令及び条項を教えていただけますでしょうか。
また、アマチュア無線家ではなく製造メーカーの修理であれば無効とならないのでしょうか。無効とならない場合は、こちらも規定する法令及び条項を教えていただけますと幸いです。

無線機(特定無線設備)を修理(単に無線機の筐体を開ける、内臓のメモリー記憶用電池を交換する)することによって、修理後の無線機(特定無線設備)の性能が電波法で規定している技術基準に適合していれば、技適マーク(技術基準適合証明)を引き続き表示することができます。
修理された無線機(特定無線設備)が技術基準に適合していなければ、特定無線設備の変更の工事に該当することから、特定無線設備の変更の工事をした者は、その表示を除去しなければなりません。(電波法第37条の7第4項)〔原文ママ〕(編注:電波法38条の7第4項が正しい)

ー 東北総合通信局からの回答