弘南鉄道ダイヤ改正の解説と改善指示 – 「研究日誌」20190906

夏休み中盤。国家試験に向けて勉強したり就職活動をしたり、なにかと忙しい夏になっています。

今回は、先日発表された弘南鉄道のダイヤ改正と、4月に発生した脱線事故に関する東北運輸局からの警告について書きたいと思います。


 

ダイヤ改正について

弘南鉄道が10月中にダイヤ改正を行う予定であることは本サイトでも既に書きました(本サイト記事新聞記事)が、ついに9月1日(中央弘前駅及び弘前駅構内で確認。HPでは9月3日)、10月1日に減便を伴うダイヤ改正を行うことを発表しました(公式プレス)。

弘南線・大鰐線各線の改正内容について解説したいと思います(以下は全て定期旅客列車について)。

 

弘南線

現行ダイヤ(2015年7月25日改正)では、主に次のような状況でした。

  • 1日上下各29本、計58本を運転
  • 弘前駅始発6:00・終発21:30、黒石駅始発5:50・終発21:20
  • 朝及び夕方以降は30分間隔、日中(弘前駅発11:30~14:30、黒石駅発11:20~14:20)は1時間間隔のパターンダイヤ
  • 標準所要時間は、上下とも29分
  • 館田駅と田舎館駅で交換を実施

改正ダイヤでは次のようになります。

  • 1日上下各23本、計46本を運転
  • 弘前駅始発6:08・終発21:40、黒石駅始発5:50・終発21:30
  • 朝は30分間隔、日中(弘前駅発9:50~15:50、黒石駅発9:40~15:40)は1時間間隔、夕方以降は35分間隔
  • 標準所要時間は、上り34分・下り36分
  • 朝は新里駅と津軽尾上駅、日中は館田駅、夕方以降は館田駅と田舎館駅で交換を実施

目立つ点として、1日の運行本数が12本減少、1時間ヘッド期間の延長、夕方の運転間隔延長、標準所要時間の増加、交換駅の追加が挙げられます。

特に夕方の運転間隔延長は、これまで覚えやすかった弘南線のダイヤが一転覚えにくくなってしまったため、少し残念に思えます。所要時間増は、軌道保全のための減速運転によるものと思われます。

また、1時間ヘッド期間が延長したことに伴い、上下とも朝〜日中の移行期間に1時間以上運転間隔が空いてしまうことになりました。

 

大鰐線

現行ダイヤ(2010年11月9日改正)では、主に次のような状況でした。

  • 1日上下各20本、計40本を運転
  • 大鰐駅始発6:20・終発21:30、中央弘前駅始発6:10・終発21:30
  • 朝は中央弘前駅始発を除き30分間隔、日中と夜間は大鰐駅発1本を除き1時間間隔、夕方は40分間隔
  • 標準所要時間は、上下とも28分(但し、2019年4月以降は脱線事故に伴う減速運転のため所要時間延長?)
  • 朝は石川駅(1回のみ)・鯖石駅・千年駅で、以降は津軽大沢駅でのみ交換

改正ダイヤでは、次のようになります。

  • 1日上下各17往復、計34本を運転
  • 両始発駅とも始発6:50・終発21:30
  • 朝は変則ダイヤ、以降は終日1時間間隔のパターンダイヤ
  • 標準所要時間は、上り34分・下り35分(但し、朝に交換待ちのため所要時間延長の列車あり)
  • 朝は鯖石駅・津軽大沢駅・千年駅(1回のみ)・弘前学院大前駅(1回のみ)で、以降は津軽大沢駅でのみ交換

利用者数の低迷が続く大鰐線ですが、以外にも減便数は弘南線よりも少なく済みました(元々、大鰐線の本数が少ないとも言えますが)。Twitter上では「日中は1.5時間間隔になるのでは」などと噂されていましたが、

朝の変則ダイヤですが、上りと下りでそれぞれ内容が異なります。

上りは、6:50 —(53分)— 7:43 —(17分)— 8:00 —(30分)— 8:30 —(以降1時間ヘッド)

下りは、6:50 —(30分)— 7:20 —(25分)— 7:45 —(40分)— 8:25 —(1時間5分)— 9:30 —(以降1時間ヘッド)

両方向とも、30分未満の間隔で2本列車が走るようになっています。 

またこちらも弘南線同様、軌道保全のための減速運転により所要時間が増加しています。更に上下計3本が、それぞれ交換駅調整のため津軽大沢駅に停車するようになっています。

 

なお両線とも、改正前の排雪列車のダイヤは改正後のダイヤに合わないため、排雪列車についても時刻変更が発生すると思われます。


 

9月2日、国土交通省東北運輸局は弘南鉄道に対して、保安監査の結果と改善指示を通知しました(公式プレス)。

4月14日に発生した大鰐線脱線事故はまだ運輸安全委員会の調査中ですが、東北運輸局はこの事故を「木製枕木の老朽化による軌間拡大」と推定し、4月16日には同社に対して警告文書を発しています(警告書)。

同種の事故は以前他社でも発生していました。2017年5月22日に発生したわたらせ渓谷鉄道脱線事故1も同じく木製枕木の老朽化によるもので、これを含め半年の内に4件も同種の事故が発生していました。運輸安全委員会はこの事故の調査報告書の公表時に、国土交通省に対し「軌間拡大による列車脱線事故防止に係る意見」を提出しました。これを受けて、国土交通省は2018年6月28日付で各地方運輸局鉄道部に対して「地方鉄道等における軌間拡大防止策の促進について」を通達し、これは鉄道各社にも下達されていました(資料1資料2資料3)。

しかしながら大鰐線ではこの下達による対策が不十分であり、上記の事故につながりました。

監査結果として、木製枕木について1本毎に管理されていなかったこと・不良枕木は一定区間で複数あるにもかかわらず点検頻度を怠ったこと・冬期の凍結・融解の繰り返しによる犬釘の締結力低下に対する懸念から融雪した区間から行うべき検査を、現場管理者の判断で全線融雪後に行っていたこと、などが上げられています。

 

上記下達の通りに管理・検査が行われていれば防げていたかもしれない事故かもしれません。利用者低下が懸念される大鰐線ですが、安全な輸送のためにしっかりとした軌道保全が行われることを願うばかりです。

脚注

  1. 水沼駅 – 花輪駅間。JR東日本キヤE193系気動車「East i-D」が脱線した。

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