鉄道標識
>「鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準」に定められた標識
列車標識
前部標識
一般には「前照灯」と呼ばれ、他の係員や公衆に接近を知らせるためや鉄道標識を照らすために使用される。自動車などとは異なり、見通し距離を照らす目的はない。
- 昼間の方式:省略することができる。
- 夜間1の方式:最前部車両前面に、白色灯1灯以上を点灯させる。
夜間の方式によらなければならない場合に前照灯が点灯不能となった場合は、見通し区間で停止できる速度(概ね15km/h以下)で進行しなければならない。高速運転を行う車両などでは、前照灯を複数備えたり光度の向き・強弱を変えられるものがある。
後部標識
一般には「後尾灯」と呼ばれ、他の係員や公衆に列車の最後部があることを知らせるために使用される。
- 昼間の方式
- 貫通ブレーキ非使用車:最後部車両後面に赤色灯もしくは赤色反射板1個以上を点灯・装備させる。
- 貫通ブレーキ使用車:省略することができる。
- 夜間の方式
- 自動閉塞方式・ATC方式・移動閉塞式採用区間:赤色灯もしくは赤色反射板2個以上を点灯・装備させる。
- それ以外:赤色灯もしくは赤色反射板1個以上を点灯・装備させる。
2灯表示しなければならない場合において1灯が点灯不能となった場合は、運輸指令に連絡し後続列車にその旨を通知した上で運転を続行することができる。2灯とも点灯不能となった場合は、輸送指令に連絡し同一停車場間に後続列車が進入しないよう手配した上で運転を続行することができる。
閉そく信号識別標識
色灯式の閉塞信号機は、その形状が場内信号機・出発信号機と同一である。このため、閉塞信号機にはこれらと区別するための標識が設置されている。通常は、その閉塞信号機が防護する閉塞区間の番号が描かれる。複々線等で同一方向の線路が並列する場合は、別に標識を設置する場合がある。
場内標識
車内信号閉塞式・ATC方式・移動閉塞式を採用する区間において、停車場に列車を進入させる軌道回路の境界に設置される。
出発標識
車内信号閉塞式・ATC方式・移動閉塞式を採用する区間において、停車場から列車を進出させる軌道回路の境界に設置される。
入換標識
前ページの「入換信号機(・入換標識)」を参照。
線路表示器
前ページの「進路表示機」を参照。
転てつ機標識
開通方向を表示する必要がある転轍機に設置される。「普通転てつ機用」「発条転てつ機用」「脱線転てつ機用」の3種類がある。以下の表は対向側から見た場合。
普通転てつ機用 | 発条転てつ機用 | 脱線転てつ機用 | |||
---|---|---|---|---|---|
ダルマ形 | 円盤形 | 通常形 | |||
定位 | 白色側が上 | 上が白、下が黒 | 青色灯 青色円盤に白色横棒 |
青色灯 青色円盤に白S字 |
赤色灯 赤色縦長長方形板 |
反位 | 黒色側が上 | 上が黒、下が白 | 黄色灯 黄色矢羽根 |
列車停止標識
出発信号機を設けていない線路や出発信号機を所定の位置に設けることができない線路で、列車を停止させる限界を表示する必要がある場合に設置される。本来、出発信号機が設置される絶縁継目の位置に設置される。通称・列停(れってい)。
車両停止標識
車両を停車場や車両基地の構内において入換信号機により運転する際に、入換信号機の防護区間終端に設置される。通称・車停(しゃてい)。
車止標識
線路終端を表示するために設置される。
架線終端標識
電車線(架線)の終端を表示するために設置される。この先で電車線が終了するため電気車は力行できなくなるほか、集電装置を上昇させたまま終端標識を越えると集電装置が故障する可能性があるため注意しなければならない。
気笛吹鳴標識
汽笛を吹鳴させる必要がある箇所に設置される。
>解釈基準以外の標識
速度制限標識
曲線や設備等の都合上、運転速度を制限しなければならない箇所に設置される。列車・車両はこの標識のある地点までに指示された制限速度以下に減速しなければならない。信号現示による速度制限を受けている場合は、速度制限標識の制限速度と比較し、下位となる制限速度で進行しなければならない。
【例】
- 減速信号現示(75km/h)中に、制限標識60km/hの曲線に進入:60km/h以下で進行
- 注意信号現示(45km/h)中に、制限標識80km/hの曲線に進入:45km/h以下で進行
一般用
速度制限が必要な曲線部等の始端に設置される。制限速度のみが表示された標準タイプの他、制限される区間長、適用する種別・車種を併記するタイプも存在する。
表示される制限速度は、速度制限区間において発生する揺れや遠心力等による乗り心地低下を防止するため、あるいは下り勾配において制動距離が600mを超えないためのものであり、これを超えることがすぐに脱線事故につながるわけではない。
曲線通過時に車体を傾斜させることのできる振り子台車や制動力の高い台車を有する車種では、同じ速度制限区間であっても他の車種よりも高い速度で曲線部を通過することができる。この場合、複数の速度制限標識を縦列に設置することで対応する。標識が3つ以上になる場合などは、種別・車種を併記するタイプを使用する場合もある。
分岐用
分岐器の分岐側を通過する場合に適用される制限速度を表示するために設置される。制限速度の他、分岐する側の2隅を黒く塗りつぶしている。
速度制限解除標識
速度制限が必要な曲線部等の終端に設置される。編成の最後端がこの標識を通過して初めて速度制限が解除される。
制限解除後端通過標識
表示された両数の編成最後端が速度制限解除標識を通過したことを表示するために設置される。複数の編成長の列車が運転される線区においては、その後端が解除標識を通過したかが不明となる場合がある。このため、運転士の確認作業を補助する目的で設置される。
惰行標
交直セクション2、交交セクション(異相区分セクション3、電圧区分セクション4、周波数区分セクション5)が接近していることを運転士に知らせる目的で設置される。これらのセクションは力行状態を解除して通過しなければセクションオーバー事故となるため、重要となる。
架線死区間標識
架線死区間(デッドセクション)の始端に設置される。交直セクションや交交セクションのうち電圧区分・周波数区分においてはここから先は電源方式が変化するため、惰行の上で切り替え作業を行わなければセクションオーバー事故となる。とても重要な標識なため、この標識の手前にも注意喚起の標識(「交直切替」など)が複数設置される場合がある。
力行標
架線死区間の終端に設置され、力行再開の目安となる標識である。
架線電源識別標識
地上切替方式を採用する停車場内の交直流両用区間において、架線に直流・交流のどちらかが加圧されているかを表示する。直流では白色灯2灯を縦に、交流では燈色灯2灯を横に、それぞれ点灯する。
進路電源識別標識
地上切替方式を採用する停車場内の交直流両用区間において入換標識・入換信号機により車両を入換えする際に、開通した進路に直流・交流のどちらかが加圧されているかを表示する。直流では青紫色の横棒2本が、交流では橙色の波線が、それぞれ表示される。
出発反応標識
列車の出発合図や出発指示合図を行う係員に、出発信号機の開通を表示する標識である。「レピーター」とも呼ばれる。出発信号機がないATC区間では必ず設置される。
列車接触限界標識
ここを越えた場合、他の車両と接触する場所であることを表示する標識である。線路の分岐箇所や交差箇所で、線路中心間が4mとなる箇所に設置される。一般的には甲号(通称・トウフ)が設置されているが、降雪地方には乙号6が設置されている。
一旦停止標識
側線等において、線路終端が近い箇所に設置される。
入換信号機識別標識・入換標識識別標識
入換信号機か入換標識かを区別するために設置される紫色の灯火である。在来線においては、点灯時は入換信号機として、消灯時は入換標識として動作する。旧国鉄・JRにおいてはこの標識が非設置の場合は入換標識であるが、私鉄においてはこの標識がなくても入換信号機である場合があるなど、事業者で異なる。
新幹線においては意味が逆となり、点灯時は入換標識として、消灯時は入換信号機として動作する。
最高速度予告標識
一部私鉄の優等列車が走行する線区において、ホームの終端付近に設置されている。私鉄では種別ごとに線区最高速度が設定されている場合があり、標識には種別のシンボルカラーや数字と共に最高速度が記載されている。
列車停止位置目標
停車場内において、運転士にこの位置に列車を停止させるよう表示するために設置される。JR東日本においては、一般には赤縁白ひし形のものが使用され、中に数字の記載がなければ「指定なし」、記載があれば「○両用」として扱われる。対象車種・種別により標識を別にする場合がある。
信号警標・信号喚呼位置標
制動標
踏切動作反応灯
脚注
- トンネルや地下等を含む。以下同じ。
- 東北本線黒磯駅構内(交流20kV 50Hz – 直流1.5kV)、北陸本線敦賀駅〜南今庄駅間(交流20kV 60Hz – 直流1.5kV)など。
- 電源を供給する変電所が切り替わる地点に設置される。変電所が異なると交流の位相が異なるため。
- 交流20kVと交流25kVの接続点。
- 交流50Hzと60Hzの接続点。
- 根元と頭部付近を黒く着色した棒状である。
抑速信号は1分間に80回の点滅なので 80回/1min= 80回/60sec = 1.33Hzになります。
(80Hzだと点滅では無く、薄暗く見えるだけになります。)
では、
思いっきり間違えてましたね・・・。直しておきます。