信号保安の歴史(編集中)
原文については、原則として出典文献の記載の通りに記述します。
訳文については、日本の法令の基本形式に則って現代語に訳しています。
- 鉄道運転規程(明治33年8月10日逓信省令第34号)
条 | 原文 | 訳文 |
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第12条 | 複線ニ於テ列車ハ其ノ左方ノ線路ヲ進行スヘシ 左ノ場合に於テハ前項ノ規定に依ラサルコトヲ得
単線ニ於テ列車ノ行違ヲ為ス停車場ニ於テハ列車ハ常ニ其ノ左方ノ線路ヲ走行スヘシ但シ特別ノ事由アリテ例外ノ運転ヲ為ストキハ予メ監督官庁ニ届け出ツヘシ | 複線において列車はその左側の線路を走行しなければならない。 2.左の場合においては前項の規定によらず運転する。
3.単線において列車の行き違いをする停車場では常にその左側の線路を走行しなければならない。但し特別の理由があって運転するときは予め監督官庁に届け出ること。 |
第17条
| 隣接停車場間ニ於テ列車カ一時間三十哩以上ノ平均速度ヲ以テ運転スルトキ及同速度以下ト雖特ニ監督官庁ヨリ命シタル場合ニハ該列車ノ制動機ハ貫通装置ト為スヘシ 貫通制動機ハ左ノ条件ヲ具備スルコトヲ要ス
| 隣接停車場間で1時間30マイル1以上の平均速度で運転する時、及び30M/h以下でも特に監督官庁が命じた場合には当該列車の制動機は貫通装置としなければならない。 2.貫通制動機は左の条件を満たさなければならない。
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第25条 |
停車場ニ於ケル車両入レ換ハ列車カ隣接停車場、連絡所若ハ信号所ヨリ該停車場ニ向ヒ出発ノ後ハ相当ノ防護ヲ為スニ非サレハ場内信号ノ防護区域外ニ於テ之ヲ為スコトヲ得ス 左ノ条件ヲ具備スルニ非サレハ機関車ノ前後ニ連結シ又ハ機関車ニテ突放シ車両ノ入レ換ヲ為スコトヲ得ス
旅客ノ乗込ミタル列車ニ二両以上ノ車両ヲ連結スルトキ又ハ動物若ハ危険品ヲ積載シタル車両ヲ入レ換スルトキハ解放ノ儘之を為スコトヲ得ス | 停車場での車両の入換は列車が隣接停車場、連絡所又は信号所より当該停車場に向かって出発したあとは相当の防護措置を行わなければ場内信号機の防護区間外で入れ替え作業を行ってはならない。 2.左の条件を満たさなければ、機関車の前後に連結し、又は機関車にて突放で車両の入換をしてはならない。
3.旅客が乗車する列車に2両以上の車両を連結するとき、又は動物や危険品を積載する車両を入換するときは連結器を開放したまま行ってはならない。 |
- 鉄道列車保安規程
条 | 原文 | 訳文 |
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第4条 | 鉄道運転規程第12条第2項第1号第5号及第6号ノ場合ニ於ケル列車ノ運転ニハ閉塞式ニ票券式若ハ指導法ヲ併用スヘシ | 鉄道運転規程第12条第2項第一号、第五号及び第六号の場合での列車の運転には閉塞式に票券式又は指導法を併用しなければならない。 |
第6条 | 閉塞区間ノ両端停車場、連絡所及信号所ニハ閉塞器ヲ備フヘシ | 閉塞区間の両端停車場、連絡所及び信号所には閉塞器を設置すること。 |
第7条 | 閉塞器ハ線路上列車ノ有無ヲ表示スル電気指針若ハ標識ヲ装置シ之ニ電鈴若ハ電話機等ヲ添装シ列車運転上必要ナル信号ヲ授受スルコトヲ得ヘキモノタルヘシ | 閉塞器は線路上の列車の有無を表示する電気指針もしくは標識を持ち、これに電鈴もしくは電話機等を装備し列車の運転上必要となる信号を授受することのできるものとする。 |
第9条 | 閉塞式ヲ施行スル線路ニ於テハ「列車区間ニ入ル」ノ信号ヲ前方ノ停車場、連絡所若ハ信号所ヘ送示シ先方ヨリ電気指針若ハ標識ニ依リ之カ承認ノ信号ヲ受クルニ非サレハ該区間ニ向ヒ列車ヲ出発セシムルヲ得ス | 閉塞式を施行する線路においては「列車区間ニ入ル」の信号を前方の停車場、連絡所もしくは信号所に送信し、先方から電気指針もしくは 標識によりこれの承認する信号を受けなければ、当該閉塞区間に向かって列車を出発させてはならない。 |
第13条 | 通票ハ各区間一箇ニ限ル 通票ニハ当該区間ノ両端停車場、連絡所若ハ信号所ノ名ヲ明記スヘシ又隣接区間ノ通票ハ其ノ形状ヲ異ニスヘシ 通券ハ其ノ使用区間ヲ明示シ当該区間ノ通票ヲ以テスルニ非サレハ開ク能ハサル函中ニ保管セラルルカ若ハ通票ニ錠鎖セラルルコトヲ要ス又隣接区間ノ通券ハ其ノ形状若ハ着色ヲ異ニスヘシ | 通票は各区間1個に限る。 2.通票には当該区間の両端停車場、連絡所もしくは信号所の名前を明記し、隣接区管の通票とは形状を異なるものにすること。 3.通券はその使用区間を明示し当該区間の通票を用いなければ開くことの出来ない箱の中に保管するか、通票によって錠鎖されなけれなならない。又、隣接区間の通券とはその形状と色を異なるものにすること。 |
第18条 | 指導者ハ各区間一人ニ限ル 指導者ハ赤色ノ帽若ハ腕章ヲ着クヘシ又其ノ氏名及担当区間ハ予メ関係鉄道係員ヘ告知スヘシ | 指導者は各区間1人に限る。 2.指導者は赤色の帽子もしくは腕章を身につけ、その氏名及び担当区間を予め関係鉄道係員に告知しなければならない。 |
第19条 | 指導券ニハ其ノ使用区間ヲ明記指導者之ヲ発行ス又指導券ノ効用ハ一回ノ片道運転ニ限ルモノトス | 指導券にはその使用区間を明記し、指導者がこれを発行する。また、指導券の効力は1回の片道運転に限る。 |
- 鉄道信号規程(明治33年8月10日逓信省令第35号)
条 | 原文 | 訳文 |
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第6条 | 常置信号機ハ柱上高く腕並燈ヲ装置シ危害信号ヲ現示スルヲ其ノ定位トシ必要ノ場合ニ於テ無難信号ヲ現示スルヲ得ヘキモノタルヘシ | 常置信号機は柱上高く設置し腕並びに灯火を持ち危害信号現示2を定位とし、必要に応じ無難信号現示3に出来るものとする。 |
第7条 | 常置信号ノ主要ナル種類左ノ如シ
前項第3号及第4号ノ信号機ハ第1号及第2号ノ信号機ヨリ其ノ高ヲ低クシ彼是区別シ易カラシムヘシ | 主要な常置信号機の種類は左の通りである。
2.前項第三号及び第四号の信号機は、第一号及び第二号の信号機より高さを低くし、これらが容易に区別できるようにすること。 |
第8条 | 二箇以上同種類ノ常置信号ヲ同一ノ柱ニ装置スルトキハ最上位ニ在ルモノハ最左側ノ線路ニ属シ以下順次右方ノ線路ニ属スルモノトス | 2個以上同じ種類の常置信号機を同一の柱に設置する場合は、最上位に設置されたものは最も左側の線路に対応し、順次右方の線路に対応するものとする。 |
第9条 | 常置信号ハ昼間ハ之ニ向テ視ルトキ左腕ノ位置又夜間ハ燈色ヲ以テ左ノ法式ニ依リ之ヲ現示スヘシ
| 常置信号機は、昼間は信号機に向かって左の腕木の位置を、夜間は灯火色をそれぞれ用いて、左の方式によって現示すること。
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列車運転及信号取扱心得
条 | 原文 | 訳文 |
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第107条 | 列車ノ運転ハ閉塞式ニ依ルヘシ 但続行列車ヲ運転スルコトヲ得ヘキ線路4ハ特ニ定メナキ限リハ総テ票券式ニ依ル | 列車の運転は閉塞式によるものとする。但し、続行列車を運転することが出来ない線路では特に定めのない場合は票券式を施行する。 |
第108条 | 左ノ場合に於ける列車ノ運転ハ指導法ニ依ルコトヲ得 但続行列車ヲ運転スルコトヲ得サル線路ニ於テハ閉塞式ヲ併用スヘシ
| 左の場合における列車の運転は指導式によるものとする。但し、続行列車を運転することが出来ない線路では閉塞式を併用しなければならない。
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第109条 | 複線に於ケル救援列車ノ運転又ハ後部補助機関車カ途中ヨリ退行スルトキハ閉塞式ニ票券式若クハ指導法ヲ併用スヘシ | 複線における救援列車の運転、又は後部補助機関車が途中から退行する時は、閉塞式に票券式もしくは指導法を併用しなければならない。 |
第126条 | 票券式ヲ施行スル線路ニ於テハ如何ナル列車ト雖其ノ機関車カ当該区間ノ通票若クハ通券ヲ携帯スルニ非サレハ其ノ区間ヲ運転スルコトヲ得ス | 票券式を施行する線路においては、如何なる場合であっても機関車が当該閉塞区間の通票もしくは通券を携行しなければ、その閉塞区間を運転してはならない。 |
第127条 | 列車ノ前部ニ補助機関車ヲ連結スルトキハ本務機関手ハ通票又ハ通券ヲ携帯スヘシ 此ノ場合ニ於テ補助機関車ハ之ヲ確認スヘシ | 列車前部に補助機関車を連結するときは、本務機関士は通票もしくは通券を携行すること。この場合、補助機関車機関士はこれを確認すること。 |
第128条 | 機関車ノミヲ二両以上連結シテ運転スルトキハ最前部ノ機関手ハ通票又ハ通券ヲ携帯スヘシ 此ノ場合ニ車掌ハ後方機関車ニ乗務スヘシ | 機関車のみを2両以上連結して運転するときは、最前部の機関士は通票もしくは通券を携行すること。この場合、車掌は後部機関車に乗務すること。 |
第129条 | 列車ノ後部ニ補助機関車ヲ連結スルトキハ後部機関手ハ通票又ハ通券ヲ携帯スヘシ | 列車後部に補助機関車を連結するときは後部機関士は通票もしくは通券を携行すること。 |
第130条 | 通票又ハ通券ハ駅長ニ於テ列車出発ノ準備整ヒタル時前部車掌ニ授与シ前部車掌ハ之ヲ確認シテ後部車掌ニ示シ然ル後機関手ニ授与スヘシ 後部ニ補助機関車ヲ連結スルトキハ駅長ハ後部車掌ニ通票又ハ通券ヲ授与シ後部車掌ハ之ヲ前部機関手ニ示シタル上後部機関手ニ之ヲ授与スヘシ 通票又ハ通券ヲ授与シタル後已ムヲ得サル事由アリテ車両又ハ機関車ヲ解結セムトスルトキハ一旦之ヲ返戻セシムヘシ 通過列車ノ場合ニハ駅長ニ於テ通票又ハ通券ヲ直接機関手ニ授与スヘシ 但駅長ハ前区間ノ通票又ハ通券ヲ受領スルニ非サレハ次区間ノ通票又ハ通券ヲ授与スヘカラス 機関手ハ通票又ハ通券ヲ当該区間ノ終端停車場ノ駅長ニ授与スヘシ | 通票もしくは通券は、駅長が列車の発車準備が整ったときに前部車掌に渡し、前部車掌はこれを確認し後部車掌に見せ、後に機関士に渡すこと。 2.後部に補助機関車を連結するときは、駅長は後部車掌に通票もしくは通券を渡し、後部車掌はこれを前部機関士に見せた後、後部機関士にこれを渡すこと。 3.通票もしくは通券を渡した後にやむを得ない理由があって車両もしくは機関車を解決するときは、一度これを返納すること。 4.通過列車の場合には、駅長は通票もしくは通券を直接機関士に渡すこと。但し、駅長は前閉塞区間の通票もしくは通券を受け取れなければ、次閉塞区間の通票もしくは通券を渡してはならない。 5.機関士は通票もしくは通券を当該閉塞区間の終端停車場の駅長に渡すこと。 |
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