鉄道に関する技術上の基準を定める省令

2021年12月31日

(平成13年12月25日国土交通省令第151号)


  • 公布:平成13年(2001年)12月25日
  • 施行:平成14年(2002年)3月31日
  • 改正:
    • 平成16年12月2日国土交通省令第96号(動力車操縦者運転免許に関する省令の一部を改正する省令附則第四条による改正)
    • 平成18年3月24日国土交通省令第13号(鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の一部を改正する省令第一条による改正)
    • 平成18年7月14日号外国土交通省令第78号(運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令第十五条による改正)
    • 平成18年12月15日号外国土交通省令第110号(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行規則附則第四条による改正)
    • 平成24年7月2日国土交通省令第69号(鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の一部を改正する省令一条による改正)
  • 廃止:—(平成30年9月21日現在、有効)

目次

第一章 総則(第一条〜第八条)

第二章 係員(第九条〜第十一条)

第三章 線路

第一節 軌間(第十二条)

第二節 線路線形(第十三条〜第十九条)

第三節 建築限界(第二十条)

第四節 施行基面の幅及び軌道中心間隔(第二十一条・第二十二条)

第五節 線路構造(第二十三条〜第二十五条)

第六節 建築物(第二十六条)

第七節 安全設備(第二十七条〜第三十二条)

第八節 線路標(第三十三条)

第四章 停車場

第一節 停車場(第三十四条〜第三十七条)

第二節 車庫等(第三十八条)

第五章 道路との交差(第三十九条・第四十条)

第六章 電気設備

第一節 電路設備(第四十一条〜第四十八条)

第二節 変電所等設備(第四十九条)

第三節 電気機器等設備(第五十条・第五十一条)

第四節 雑則(第五十一条の二〜第五十三条)1

第七章 運転保安設備

第一節 信号保安設備(第五十四条〜第五十九条)

第二節 保安通信設備(第六十条・第六十一条)

第三節 踏切保安設備(第六十二条)

第四節 雑則(第六十三条)

第八章 車両

第一節 車両限界(第六十四条)

第二節 車両の重量等(第六十五条・第六十六条)

第三節 車両の走行装置等(第六十七条〜第六十九条)

第四節 車体の構造及び車両の装置(第七十条〜第八十二条)

第五節 車両の火災対策等(第八十三条〜第八十五条)

第六節 動力車を操縦する係員が単独で乗務する列車等の車両設備(第八十六条)

第八章の二 その他の設備(第八十六条の二)2

第九章 施設及び車両の保全(第八十七条〜第九十一条)

第十章 運転

第一節 積載制限等(第九十二条・第九十三条)

第二節 列車の運転(第九十四条〜第百八条)

第三節 車両の運転(第百九条〜第百十一条)

第四節 鉄道信号(第百十二条〜第百十九条)

第十一章 特殊鉄道(第百二十条)

附則

鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令第一条第三号の規定による廃止前の普通鉄道構造規則第四十四条第二項、第四十六条から第四十八条まで、第六十条及び第百三十九条第二項の基準を定める告示

鉄道に関する技術上の基準を定める省令第二条第二十号の危険品を定める告示


第一章 総則

第一条(目的)
 この省令は、鉄道の輸送の用に供する施設(以下「施設」という。)及び車両の構造及び取扱いについて、必要な技術上の基準を定めることにより、安全な輸送及び安定的な輸送の確保を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。
 
第二条(定義)
 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 新幹線 全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号)第二条に規定する新幹線鉄道をいう。
二 営業主体 新幹線の営業を行う法人をいう。
三 建設主体 新幹線の建設を行う法人をいう。
四 軌間 軌道中心線が直線である区間におけるレール頭部間の最短距離をいう。
五 本線 列車の運転に常用される線路をいう。
六 側線 本線でない線路をいう。
七 駅 旅客の乗降又は貨物の積卸しを行うために使用される場所をいう。
八 信号場 専ら列車の行き違い又は待ち合わせを行うために使用される場所をいう。
九 操車場 専ら車両の入換え又は列車の組成を行うために使用される場所をいう。
十 停車場 駅、信号場及び操車場をいう。
十一 車庫 専ら車両の収容を行うために使用される場所をいう。
十二 車両 機関車、旅客車、貨物車及び特殊車(除雪車、軌道試験車、電気試験車、事故救援車その他特殊な構造又は設備を有するものをいう。)であって、鉄道事業の用に供するものをいう。
十三 列車 停車場外の線路を運転させる目的で組成された車両をいう。
十四 動力車 動力発生装置を有する車両をいう。
十五 閉そく 一定の区間に同時に二以上の列車を運転させないために、その区間を一列車の運転に占有させることをいう。
十六 鉄道信号 信号、合図及び標識をいう。
十七 信号 係員に対して、列車又は車両(以下「列車等」という。)を運転するときの条件を現示するものをいう。
十八 合図 係員相互間で、その相手方に対して合図者の意思を表示するものをいう。
十九 標識 係員に対して、物の位置、方向、条件等を表示するものをいう。
二十 危険品 国土交通大臣が告示で定める物のうち火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)第二十条第二項の規定の適用を受けないものをいう。
 
第三条(実施基準)
 鉄道事業者(新幹線にあっては、営業主体及び建設主体のそれぞれ。以下この条において同じ。)は、この省令の実施に関する基準(以下「実施基準」という。)を定め、これを遵守しなければならない。
2 建設主体(営業主体である建設主体を除く。)は、実施基準を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、営業主体に協議しなければならない。
3 実施基準は、国土交通大臣がこの省令の実施に関する細目を告示で定めたときは、これに従って定めなければならない。
4 鉄道事業者は、実施基準を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、当該実施基準又は変更しようとする事項を地方運輸局長(新幹線に係るものにあっては、国土交通大臣。以下この条において同じ。)に届け出なければならない。
5 地方運輸局長は、実施基準がこの省令の規定に適合しないと認めるときは、実施基準を変更すべきことを指示することができる。
 
第四条(書類の提出)
 前条第四項の規定により地方運輸局長に提出すべき届出書は、当該事案の関する土地を管轄する地方運輸局長(当該事案が二以上の地方運輸局長の管轄区域にわたるときは、当該事案の主として関する土地を管轄する地方運輸局長。以下「所轄地方運輸局長」という。)に提出しなければならない。
 前条第四項の規定により国土交通大臣に提出すべき届出書は、所轄地方運輸局長を経由して提出しなければならない。
 
第五条(危害の防止)
 施設の工事は、のり切り、切土、掘削、盛土、くい打ち等により人に危害を及ぼさないように行わなければならない。
 
第六条(著しい騒音の防止)
 鉄道事業者は、列車の走行に伴い発生する著しい騒音の防止に努めなければならない。
 
第七条(移動等円滑化3のために講ずべき措置)
 鉄道事業者が高齢者、障害者等の移動上又は施設の利用上の利便性3及び安全性の向上のために講ずべき措置については、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年法律第九十一号)第八条3の定めるところによる。
 
第八条 削除4
 
 
 

第二章 係員

第九条(運転の安全確保)
 列車等の運転に当たっては、係員の知識及び技能並びに運転関係の設備を総合的に活用して、その安全確保に努めなければならない。
 
第十条(係員の教育及び訓練等)
 鉄道事業者は、列車等の運転に直接関係する作業を行う係員並びに施設及び車両の保守その他これに類する作業を行う係員に対し、作業を行うのに必要な知識及び技能を保有するよう、教育及び訓練を行わなければならない。
2 鉄道事業者は、列車等の運転に直接関係する作業を行う係員が作業を行うのに必要な適性、知識及び技能を保有していることを確かめた後でなければその作業を行わせてはならない。
3 鉄道事業者は、列車等の運転に直接関係する作業を行う係員が知識及び技能を十分に発揮できない状態にあると認めるときは、その作業を行わせてはならない。
 
第十一条(動力車を操縦する係員の乗務等)
 列車には、動力車を操縦する係員を乗務させなければならない。ただし、施設及び車両の構造等により、当該係員を乗務させなくても列車の安全な運転に支障がない場合は、この限りでない。
2 動力車を操縦する係員は、動力車操縦者運転免許に関する省令(昭和三十一年運輸省令第四十三号)第四条第一項第一号から第八号まで及び第十二号5の運転免許を受けた者でなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
6 鉄道事業者が公共団体であるとき。
6 運転見習中の係員が運転免許を受けた者と当該運転免許に係る動力車に同乗してその直接の指導を受けるとき。
6 本線を支障するおそれのない側線において移動するとき。
3 動力車を操縦する係員は、酒気を帯びた状態又は薬物の影響により正常な操縦ができないおそれがある状態で列車に乗務してはならない。2
 

第三章 線路

第一節 軌間

第十二条(軌間)
 軌間は、車両の構造、設計最高速度等を考慮し、車両の安全な走行及び安定した走行を確保することができるものでなければならない。
 

第二節 線路線形

第十三条(線路線形)
 本線の曲線半径及びこう配は、設計最高速度、設計引重量等を考慮し、鉄道輸送の高速性及び大量性を確保することができるものでなければならない。ただし、地形上等の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
 
第十四条(曲線半径)
 曲線半径は、車両の曲線通過性能、運転速度等を考慮し、車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。
2 プラットホームに沿う本線の曲線半径は、できる限り大きなものとしなければならない。
 
第十五条(カント)
 円曲線には、車両が受ける遠心力、風の影響等を考慮し、車両の転覆の危険が生じないよう、軌間、曲線半径、運転速度等に応じたカントを付けなければならない。ただし、分岐内曲線、その前後の曲線(以下「分岐附帯曲線」という。)、側線その他のカントを付けることが困難な箇所であって運転速度の制限その他の車両の転覆の危険が生じるおそれのない措置を講じた場合は、この限りでない。
2 カントは、円曲線のカント量、運転速度、車両の構造等を考慮して、車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないよう、相当の長さにおいて逓減しなければならない。
 
第十六条(スラック)
 円曲線には、曲線半径、車両の固定軸距等を考慮し、軌道への過大な横圧を防止することができるスラックを付けなければならない。ただし、曲線半径が大きい場合、車両の固定軸距が短い場合その他の軌道への過大な横圧が生じるおそれのない場合は、この限りでない。
2 スラックは、車両の固定軸距を考慮し、車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないよう相当の長さにおいて逓減しなければならない。
 
第十七条(緩和曲線)
 直線と円曲線との間及び二つの円曲線の間には、車両の構造、カント量、運転速度等を考慮し、車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないよう、緩和曲線を挿入しなければならない。ただし、分岐附帯曲線、カント量が小さい円曲線その他の緩和曲線を挿入することが困難な箇所であって運転速度の制限、脱線を防止するための設備の設置その他の車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのない措置を講じた場合は、この限りでない。
 
第十八条(こう配)
 こう配は、車両の動力発生装置、ブレーキ装置の性能、運転速度等を考慮し、車両が起動し、所定の速度で連続して運転することができ、かつ、所定の距離で停止することができるものでなければならない。
2 列車の停止区域のこう配は、車両の動力発生装置、ブレーキ装置の性能等を考慮し、列車の発着に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。
3 車両の留置又は解結をする区域におけるこう配は、車両が転動するおそれのないものとしなければならない。ただし、車両の転動を防止する措置を講ずる場合は、この限りでない。
 
第十九条(縦曲線)
 こう配が変化する箇所には、列車の運転速度、車両の構造等を考慮し、車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないよう、縦曲線を挿入しなければならない。ただし、こう配の変化が少ない場合、運転速度が低い場合その他の車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのない場合は、この限りでない。
 

第三節 建築限界

第二十条(建築限界)
 直線における建築限界は、車両の走行に伴って生ずる動揺等を考慮して、車両限界との間隔が、車両の走行、旅客及び係員の安全に支障を及ぼすおそれのないよう定めなければならない。
2 直線における建築限界は、電気機関車又は電車が走行する場合は、車両の走行に伴って生ずる動揺等を考慮して、車両限界との間隔が、感電及び火災のおそれのないよう定めなければならない。
3 曲線における建築限界は、車両の偏いに応じ、前二項における建築限界を拡大し、かつ、カントに伴い傾斜させたものでなければならない。
4 建築限界内には、建物その他の建造物等を設けてはならない。
5 建築限界内には、列車等以外の物を置いてはならない。ただし、工事等のためやむを得ない場合であって、運転速度の制限その他の列車等の運転の安全を確保する措置を講じたときは、この限りでない。
6 建築限界外であっても、建築限界内に崩れるおそれのある物を置いてはならない。
 

第四節 施工基面の幅及び軌道中心間隔

第二十一条(施工基面の幅)
 直線における施工基面の幅は、軌道の構造に応じ、軌道としての機能を維持することができるものであり、かつ、必要に応じ、係員が列車を避けることができるものでなければならない。
2 曲線における施工基面の幅は、車両の偏い、カント量等に応じ、前項における施工基面の幅を拡大したものでなければならない。
 
第二十二条(軌道中心間隔)
 直線における軌道中心間隔は、車両の走行に伴って生ずる動揺等により、車両同士の接触、旅客が窓から出した身体と車両との接触その他の車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。
2 曲線における軌道中心間隔は、前項における軌道中心間隔を車両の偏いに応じ、拡大したものでなければならない。
 

第五節 線路構造

第二十三条(軌道)
 軌道は、次の基準に適合するものでなければならない。
一 車両の構造に適合し、車両を所定の方向に案内することができること。
二 予想される荷重に耐えること。
三 車両の安全な走行に支障を及ぼす変形のおそれのないこと。
四 保全に支障を及ぼすおそれのないこと。
2 本線における曲線半径の小さい曲線その他の脱線のおそれのある箇所又は脱線した場合に被害が甚大となるおそれのある箇所には、施設の状況、車両の構造等に応じ、脱線を防止するための設備又は脱線した場合の被害を少なくするための設備を設けなければならない。
3 リニアモーター推進方式の鉄道における動力発生装置の地上設備並びにその附属品及び締結装置は、列車等の運転に必要な能力を有し、車両の走行に支障を及ぼすおそれのない位置に設置され、かつ、動力の発生に伴う吸引力等に対して安全な構造でなければならない。
 
第二十四条(構造物)
 土工、橋りょう、トンネルその他の構造物は、予想される荷重に耐えるものであって、かつ、列車荷重、衝撃等に起因した構造物の変位によって車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。
 
第二十五条(著しい騒音を軽減するための設備)
 新幹線の線路には、沿線の状況に応じ、列車の走行に伴い発生する著しい騒音を軽減するための設備を設けなければならない。
 

第六節 建築物

第二十六条(建築物)
 線路敷地内の運転保安に関する建築物及びこ線橋、プラットホームの上家その他これらに類する建築物は、予想される荷重に耐えることができ、かつ、車両の走行及び旅客の利用に特に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。
 

第七節 安全設備

第二十七条(災害等防止設備)
 物件の落下等により線路に支障を及ぼすおそれのある切取区間、トンネル口等には、線路の支障を防ぐための設備又は落下物等を検知するための設備を設けなければならない。
2 駅、トンネル等の施設には、施設の状況に応じた浸水防止設備及び必要な排水量に応じた排水設備を設けなければならない。
 
第二十八条(橋りょう下等の防護)
 交通の頻繁な道路、線路又は河川に架設する橋りょうであって橋りょうの下を通行するものに危害を及ぼすおそれのあるものには、物件の落下を防止するための防護設備を設けなければならない。
2 交通の頻繁な道路又は河川に架設する橋りょうであって自動車又は船舶の衝撃を受けるおそれのある場合は、相当の防護設備を設けなければならない。ただし、新幹線以外の鉄道にあっては、危険である旨の表示とすることができる。
 
第二十九条(地下駅等の設備)
 主として地下式構造の鉄道の駅であって地下にあるもの及びこれに接続するトンネル並びに長大なトンネル(以下「地下駅等」という。)には、必要な換気量に応じた換気設備を設けなければならない。ただし、十分な自然換気が得られるものにあっては、この限りでない。
2 地下駅等には、施設の状況に応じ、必要な消火設備、避難設備その他の火災対策設備を設けなければならない。
 
第三十条(車両の逸走等の防止)
 車両が逸走し、又は列車が過走して危害を及ぼすおそれのある箇所には、列車等の速度、こう配等を考慮し、相当の保安設備を設けなければならない。
 
第三十一条(線路内への立ち入り防止)
 人が線路に立ち入るおそれのある場所には、必要に応じ、相当の防護設備を設け、又は危険である旨の表示をしなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、新幹線にあっては、橋りょう、トンネルその他の人の容易に立ち入ることができない場所を除き、防護設備を設けなければならない。
 
第三十二条(避難用設備等)
 線路は、事故が発生した場合その他の緊急の場合に避難しようとする旅客が安全に歩行することが可能なものでなければならない。ただし、施設の状況に応じ、相当の避難設備を設けた場合は、この限りでない。
 

第八節 線路標

第三十三条(線路標)
 本線には、線路の保全及び列車の運転の安全の確保に必要な線路標を設けなければならない。
 

第四章 停車場

第一節 停車場

第三十四条(停車場の配線)
 停車場の配線は、列車の運行に適合したものでなければならない。
2 停車場において待避の用に供される本線の有効長は、当該本線に待避する最長の列車に対し十分な長さとしなければならない。
 
第三十五条(駅の設備)
 駅には、旅客又は貨物の取扱量等に応じ、プラットホーム、貨物積卸場その他の旅客又は貨物の取扱いに必要な相当の設備を設けなければならない。
2 駅には、当該駅を利用する旅客にとって有用な情報を提供する設備を設けなければならない。
 
第三十六条(プラットホーム)
プラットホームは、次の基準に適合するものでなければならない。
一 プラットホームの有効長は、当該プラットホームに発着する列車の最も前方にある旅客車(車掌が旅客車以外の車両に乗務する場合は、当該車両を含む。以下この条において同じ。)から最も後方にある旅客車までの長さのうち最長のものの長さ以上であって、旅客の安全かつ円滑な乗降に支障を及ぼすおそれのないものであること。ただし、地形上等の理由によりやむを得ない場合であって、車両の旅客用乗降口の閉鎖その他の必要な措置が講じられているときは、この限りでない。
二 プラットホームの幅並びにプラットホームにある柱類及び跨線橋口、地下道口、待合所等の壁とプラットホーム縁端との距離は、旅客の安全かつ円滑な流動に支障を及ぼすおそれのないものであること。
三 列車の速度、運転本数、運行形態等に応じ、プラットホーム上の旅客の安全を確保するための措置を講じたものであること。
 
第三十七条(旅客用通路等)
 旅客用通路及び旅客用階段の幅は、旅客の流動に支障を及ぼすおそれのないものでなければならない。
2 旅客用階段には、旅客が転落する危険を防止するための措置を講じなければならない。
 

第二節 車庫等

第三十八条(車庫等)
 車庫は、収容する車両に応じ、十分な収容能力を有するものでなければならない。
2 車両検査修繕施設は、検査又は修繕をする車両に応じ、十分な検査設備及び修繕設備を有するものでなければならない。
 

第五章 道路との交差

第三十九条(道路との交差)
 鉄道は、道路(一般公衆の用に供する道をいう。以下同じ。)と平面交差してはならない。ただし、新幹線又は新幹線に準ずる速度で運転する鉄道以外の鉄道であって、鉄道及びこれと交差する道路の交通量が少ない場合又は地形上等の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
 
第四十条(踏切道)
 踏切道は、踏切道を通行する人及び自動車等(以下「踏切道通行人等」という。)の安全かつ円滑な通行に配慮したものであり、かつ、第六十二条の踏切保安設備を設けたものでなければならない。
 

第六章 電気設備

第一節 電路設備

第四十一条(電車線路等の施設等)
 電車線路及びき電線路並びにこれらに附属する機器及び電線並びに防護設備は、施設場所の状況、施設方法及び標準電圧に応じ、感電及び火災のおそれのないように施設しなければならない。
2 架空電車線及び架空き電線は、施設場所の状況、施設方法及び標準電圧に応じ、感電のおそれ及び他の交通の支障となるおそれのない高さに施設しなければならない。
3 電車線路は、予想される最大風圧荷重、電線による張力等に耐えることができ、かつ、列車の速度及び車両の集電方法に応じ、支障なく集電することができるように施設しなければならない。
4 電車線及びき電線は、標準電圧、周波数その他これに類する条件が異なる他の電車線及びき電線との混触による障害を防止するように施設しなければならない。
5 電車線の電圧は、列車の適正な運行を確保するため十分な値に保たなければならない。
 
第四十二条(架空電車線路等の接近又は交差)
 架空電車線路の加電圧部分又は架空き電線は、他の電線路、工作物若しくは植物と接近し、又は交差する場合は、他の電線路又は工作物を損傷するおそれがなく、かつ、混触、感電及び火災のおそれのないように施設しなければならない。
 
第四十三条(電車線の絶縁区分)
 電車線は、断線又は感電を防止するため、電気機関車又は電車が常時停車する区域において区分してはならない。ただし、区分箇所に電気機関車及び電車が接近しないように措置する場合又は区分箇所に電気機関車若しくは電車が停止した場合において障害を発生しないように措置するときは、この限りでない。
 
第四十四条(こ線橋等における障害防止)
 電車線路及びき電線路をこ線橋、ホーム上家、橋りょうその他これに類する施設の下に施設する場合であって、人等に危害を及ぼすおそれのあるときは、障害を防止する設備を設けなければならない。
 
第四十五条(帰線用レールの施設)
 帰線用レールは、帰線電流に対し十分な電気回路を構成するように、かつ、レールから大地に流れる漏えい電流が少なくなるように施設しなければならない。
 踏切道及び通路等に施設する帰線用レールは、大地との電位差により通行する人等に危害を及ぼすおそれのないように施設しなければならない。
 
第四十六条(送電線路及び配電線路の施設)
 送電線路及び配電線路(専用敷地外に施設するものを除く。以下同じ。)は、予想される最大風圧荷重、電線による張力等に耐える強度を有し、かつ、施設場所の状況、施設方法及び電圧に応じ、混触、感電及び火災のおそれのないように施設しなければならない。
2 架空送電線及び架空配電線は、感電のおそれ及び他の交通の支障となるおそれのない高さに施設しなければならない。
3 送電線及び配電線は、他の電線路、工作物若しくは植物と接近し、又は交差する場合は、他の電線路又は工作物を損傷するおそれがなく、かつ、感電及び火災のおそれのないように施設しなければならない。
 
第四十七条(雷害等を防止する装置等)
 電車線路及びき電線路並びにこれらに附属する機器並びに架空送電線路及び架空配電線路の保安上必要な箇所には、雷害を防止する装置を設けなければならない。ただし、雷害のおそれの少ない場合は、この限りでない。
2 変圧器によって結合される電圧の異なる電線路は、混触から機器及び電線路を保護し、感電及び火災のおそれのないように施設しなければならない。
 
第四十八条(誘導作用による障害防止)
 電車線、き電線、送電線及び配電線(第五十一条の二第一項において「電車線等」という。)1を施設する場合は、誘導作用による障害を他に及ぼさないように電線相互間の離隔距離を増加し、又は防護設備を設けなければならない。
 

第二節 変電所等設備

第四十九条(変電所等の施設等)
 変電所、配電所及び開閉所(以下「変電所等」という。)は、構内に取扱者以外の者が立ち入るおそれのないように施設しなければならない。
2 変電所等には、施設に応じ、異常時に変電所の機器、電線路等を保護することができる装置及び消火設備を設けなければならない。ただし、火災のおそれのない変電所等にあっては、消火設備を設けることを要しない。
3 列車の運転の用に供する変成機器の容量は、予想される負荷に耐えるものでなければならない。
4 被監視変電所(自動変電所、被遠隔制御監視変電所及び取扱者が常駐しない移動変電所をいう。)及び開閉所は、監視及び制御することができる機器を備えた監視所を有し、かつ、事故、災害及び故障の発生時に対処することができるものでなければならない。
 

第三節 電気機器等設備

第五十条 (電気機器等設備の施設)1
 電気機器、配電盤その他これに類する設備(第五十一条の二第一項において「電気機器等設備」という。)1は、感電及び火災のおそれのないように施設しなければならない。
 
第五十一条(引込線及び配線の施設等)
 引込線(専用敷地外に施設するものを除く。)及び配線は、施設場所の状況、施設方法及び電圧に応じ、感電及び火災のおそれ、他の交通の支障となるおそれ並びに工作物を損傷するおそれのないように施設しなければならない。
2 電線路の保安上必要な箇所には、地絡障害、短絡障害等から電線路及び電気機器を保護する装置を設けなければならない。
3 架空電線路に避雷その他の目的で施設する架空地線は、予想される最大風圧荷重、電線による張力等に耐える強度を有するものでなければならない。
 

第四節 雑則

第五十一条の二(電磁誘導作用による人の健康に及ぼす影響の防止)1
 電車線等及び帰線並びに電気機器等設備(発電機を除く。)を変電所等以外の場所に施設する場合は、通常の使用状態において、当該設備から発生する商用周波数の磁界による電磁誘導作用により、当該設備のそれぞれの付近において、人の健康に影響を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
2 変電所等は、通常の使用状態において、当該変電所等から発生する商用周波数の磁界による電磁誘導作用により、当該変電所等の付近において、人の健康に影響を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。ただし、田畑、山林その他の人の往来が少ない場所において、人体に危害を及ぼすおそれがないように施設する場合は、この限りでない。
 
第五十二条(電路等の絶縁)
 電路及び電気機器の絶縁性能は、事故時に想定される異常電圧を考慮し、絶縁破壊による危険のおそれのないものでなければならない。
 
第五十三条(電気設備の接地)
 電気設備の必要な箇所には、異常時の電位上昇、高電圧の侵入等による感電及び火災の防止、電気設備の保護等に有効な接地をしなければならない。
 

第七章 運転保安設備

第一節 信号保安設備

第五十四条(閉そくを確保する装置等)
 閉そくを確保する装置は、進路上の閉そく区間の条件に応じた信号を現示し、又は閉そくの保証を行うことができるものでなければならない。
2 列車間の間隔を確保する装置は、列車と進路上の他の列車等との間隔及び線路の条件に応じ、連続して制御を行うことにより、自動的に当該列車を減速させ、又は停止させることができるものでなければならない。
3 第一項又は第二項に掲げる装置を単線運転をする区間において使用する場合は、相対する列車が同時に当該区間に進入することができないものでなければならない。
 
第五十五条(鉄道信号の現示装置等)
 鉄道信号の現示装置及び表示装置の構造、現示又は表示の方法並びに施設方法は、誤認を与えるおそれのないものでなければならない。
2 信号の現示装置は、信号が防護する区域の始端までに当該信号が現示する速度まで列車等を減速させ、又は停止させることができるように設けなければならない。
3 衝突及び脱線のおそれのある線路の交差又は分岐その他の箇所には、衝突の防止その他列車等の運転の安全を確保することができるように信号の現示装置を設けなければならない。
 
第五十六条(信号相互間等を連鎖させる装置等)
 衝突及び脱線のおそれのある線路の交差又は分岐その他の箇所には、衝突の防止その他列車等の運転の安全を確保することができるよう、進路に支障を及ぼすおそれのある信号相互間及び信号とその進路内の転てつ器相互間その他これに類する相互間を連鎖させる装置を設けなければならない。
2 前項の装置を遠隔制御する装置は、列車等の位置、列車等の進路の開通状況その他の列車等の安全な運行に必要な情報を表示することができるものでなければならない。
 
第五十七条(列車を自動的に減速又は停止をさせる装置)
 閉そくによる方法により列車を運転する場合は、信号の現示及び線路の条件2に応じ、自動的に列車を減速させ、又は停止させることができる装置を設けなければならない。ただし、列車の運行状況及び線区の状況により列車の安全な運転に支障を及ぼすおそれのない場合は、この限りでない。
 
第五十八条(自動運転をするための装置)
 動力車を操縦する係員が乗務しない鉄道に設ける自動運転をするための装置は、次の基準に適合するものでなければならない。
一 乗降する旅客の安全が確認された後でなければ列車を発車させることができないものであること。
二 列車間の間隔を確保する装置からの制御情報が指示する運転速度以下に目標速度を設定し、円滑に列車の速度を制御する等運転保安上必要な機能を有するものであること。
三 旅客の乗降に支障を及ぼさない位置に円滑に列車を停止させるものであること。
 
第五十九条(列車等を検知する装置)
 列車等を検知する装置(保安上必要なものに限る。)は、誘導作用等による障害を防止することにより、列車等を確実に検知することができるものでなければならない。
2 前項の装置に検知区間の境界を設ける場合は、列車等の衝突のおそれのない位置としなければならない。
 

第二節 保安通信設備

第六十条(保安通信設備)
 停車場、変電所、運転指令所、電力指令所その他の保安上又は運転上必要な箇所の相互間には、迅速に連絡通報することができる保安通信設備を設けなければならない。
 
第六十一条(架空通信線の施設)
 架空通信線は、他の交通の支障となるおそれのない高さに施設しなければならない。
2 架空通信線は、人及び機器に危害を及ぼすおそれのないよう、かつ、他の電線との混触障害及び雷害を防止することができるように施設しなければならない。
 

第三節 踏切保安設備

第六十二条(踏切保安設備)
 踏切保安設備は、踏切道通行人等及び列車等の運転の安全が図られるよう、踏切道通行人等に列車等の接近を知らせることができ、かつ、踏切道の通行を遮断することができるものでなければならない。ただし、鉄道及び道路の交通量が著しく少ない場合又は踏切道の通行を遮断することができるものを設けることが技術上著しく困難な場合にあっては、踏切道通行人等に列車等の接近を知らせることができるものであればよい。
2 踏切保安設備は、列車の速度、鉄道及び道路の交通量、通行する自動車の種類等を考慮し、必要な場合は、自動車が踏切道を支障したときにこれを列車等に知らせることができるものでなければならない。
 

第四節 雑則

第六十三条(障害発生時の安全確保)
 運転保安設備は、電気機器及び回路の特性に応じ、その機能に障害が発生した場合においても列車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれのない機能を有しなければならない。
 

第八章 車両

第一節 車両限界

第六十四条(車両限界)
 車両は、車両限界を超えてはならない。ただし、構造上の理由により車両限界を超えなければ使用することができない装置及び排障器、クレーンその他これに類するものは、車両の安全な走行を確保することができる範囲において、車両限界を超えることができる。
 

第二節 車両の重量等

第六十五条(軌道及び構造物に対する制限)
 車両は、軌道及び構造物に対して、当該軌道及び構造物の負担力より大きい影響を与えないものでなければならない。
 
第六十六条(安定性)
 車両は、軌道の保全状況その他想定される運転条件において、安全な走行及び安定した走行を確保することができるものでなければならない。
2 車両は、曲線軌道上で停止した場合において、転覆をしない構造のものでなければならない。
 

第三節 車両の走行装置等

第六十七条(走行装置等)
 走行装置等は、次の基準に適合しなければならない。
一 車輪は、車両の走行により軌道を損傷させないこと。
二 車軸の配置は、走行する線区の最小曲線半径の曲線を支障なく通過することができるものであること。
三 懸架装置は、軌道からの衝撃に対し十分な容量を有すること。
四 列車の最前部となる車両の前部は、レール頭面上の障害物を排除することができるものであること。
五 前各号に掲げるもののほか、走行装置等は、堅ろうで十分な強度を有し、かつ、車両の安全な走行及び安定した走行を確保することができるものであること。
 
第六十八条(動力発生装置等)
 動力発生装置等は、施設に適合し、運転に耐えるものでなければならない。
2 車両の電気回路の電気設備は、次の基準に適合するものでなければならない。
絶縁破壊、混触による感電及び火災のおそれのないものであること。
誘導作用による障害を鉄道事業の用に供する他の電気回路の電気設備に及ぼすおそれのないものであること。
集電装置は、電車線に対し追従性を有するものであること。
パンタグラフは、乗務員室から一斉に下降させることができること。ただし、電気機関車の重連その他の特別な理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
パンタグラフ降下時にアークによる火災の発生するおそれのないものであること。
過電流による過熱焼損のおそれのないものであること。
異常な高電圧の侵入に対し、回路の安全を確保することができること。
高電圧の電車線の区間を走行する車両にあっては、異常時に電車線を強制的に停電させることができること。
3 内燃機関及び蒸気機関を有する車両の機関等については、次の基準に適合するものでなければならない。
機関は、異常な過熱が発生することがないよう適切な保護措置が講じられること。
蒸気機関は、機関から排出される火の粉及び燃えがらによる火災の発生を防止することができること。
床壁等は、機関の熱による発火を防止することができるよう設置されること。
燃料装置は、燃料の漏れ及び引火を防止することができること。
排気管は、排気ガス及び熱による旅客への危険及び他の装置の故障を防止する構造であること。
 
第六十九条(ブレーキ装置)
 車両には、次の基準に適合するブレーキ装置を設けなければならない。
一 車両を確実に減速し、又は停止させることができること。
二 組成した車両に乗務員室からの操作により連動して作用すること。(専ら入換えをする場合に連結して運転する車両及び特殊車を除く。第五号において同じ。)
三 振動、衝撃等によりその作用に支障を及ぼすおそれのないこと。
四 制動力を連続して作用させることができること。
五 組成した車両が分離したときに自動的に作用すること。
六 車両を急速に停止させることができること。ただし、特殊車にあっては、この限りでない。
七 制動力の供給源を確保することができないことにより、その作用に支障を及ぼすおそれのある場合は、発車することができないこと。ただし、蒸気機関車であって警報装置等を設置した場合は、この限りでない。
2 車両には、前項のブレーキ装置のほか、次の基準に適合するブレーキ装置を設けなければならない。
一 留置中の車両の転動を防止することができるものであって前項第三号の基準に適合する装置。ただし、当該装置を有する他の車両に固定連結すること等により、留置中に車両の転動を防止する場合は、この限りでない。
二 前項のブレーキ装置が故障した場合に使用することができる独立したブレーキ機能を有するものであって前項第一号、第三号及び第四号の基準に適合する装置。ただし、機関車、旅客車(客車に限る。)、貨物車(貨車及び荷物車に限る。)及び特殊車は除く。
 

第四節 車体の構造及び車両の装置

第七十条(車体の構造)
 車両の車体は、堅ろうで十分な強度を有し、運転に耐えるものでなければならない。
 
第七十一条(著しい騒音を軽減するための構造)
 新幹線の車両は、列車の走行に伴い発生する著しい騒音を軽減するための構造としなければならない。ただし、専ら事故の復旧又は施設の試験、検査若しくは保守の用に供する車両については、この限りでない。
 
第七十二条(乗務員室の構造)
 乗務員室は、客室の旅客により乗務員の操作が妨げられないものであって、列車の運転に支障のないよう、必要な出入口を設けたものでなければならない。ただし、特殊車の乗務員室については、この限りでない。
2 乗務員室の窓は、運転に必要な視野を有するものでなければならず、かつ、前面においては、小石、風圧等から乗務員を保護することができる十分な強度を有するものでなければならない。ただし、特殊車の乗務員室については、この限りでない。
 
第七十三条(客室の構造)
 客室は、次の基準に適合するものでなければならない。
一 窓は、十分な強度を有し、かつ、窓を開けた場合において、施設等と接触するおそれ及び旅客が転落するおそれのないこと。
二 客室内は、必要な換気をすることができること。
三 夜間及びトンネル走行時に必要な照明設備を設け、非常時にも客室内に必要な明るさを確保すること。
四 通路は、安全かつ円滑に通行することができること。
五 座席及び立席は、列車の動揺を考慮し、旅客の安全を確保することができること。
六 必要に応じ便所を設けること。
七 前各号に掲げるもののほか、客室は、旅客が安全に利用することができるものであること。
 
第七十四条(旅客用乗降口の構造)
 旅客用乗降口は、旅客の安全かつ円滑な乗降を確保することができるものであって、その扉には、次の基準に適合する自動戸閉装置を設けなければならない。
一 同時に開閉することができること。
二 乗務員が開閉状態の確認をすることができるものであること。
三 扉が閉じた後でなければ発車することができないものであること。ただし、客車であって係員が扉が閉じたことを直接に確認する場合は、この限りでない。
四 非常の際に手動により開くことができるものであること。ただし、サードレール式の電車線の区間等を走る車両は、この限りでない。
 
第七十五条(貫通口及び貫通路の構造)
 旅客車には、旅客が安全かつ円滑に通行することができる貫通口及び貫通路を設けなければならない。ただし、専ら車両一両で運転するものにあっては、この限りでない。
2 施設の状況により非常時に側面から避難できない区間を走行する列車は、その最前部となる車両の前端及び最後部となる車両の後端(最前部が機関車である列車にあっては、車両の最後部となる後端)から確実に避難することができるものでなければならない。
 
第七十六条(非常口の構造)
 非常の際に旅客が脱出することが困難な車両には、容易かつ確実に脱出することができ、かつ、乗務員が開閉状態を容易に確認することができる非常口を設けなければならない。
 
第七十七条(連結装置)
 連結装置(連接台車及びこれに類似する構造のものを除く。)は、堅ろうで十分な強度を有し、振動、衝撃等に耐え、かつ、車両等を相互に確実に結合することができるものでなければならない。
 
第七十八条(特殊な貨物を運送する車両の構造)
 可燃性液体、自動車その他の特殊な貨物を運送する貨物車は、当該貨物に起因する災害を防止することができる構造及び設備を有するものでなければならない。
 
第七十九条(乗務員室の設備)
 車両の運転に使用する乗務員室には、力行制御、ブレーキ制御等運転に必要な設備を設けなければならない。
2 前項の設備は、乗務員が容易に操作及び確認することができるものでなければならない。
3 車両の運転に使用する乗務員室には、動力車を操縦する係員が運転操作不能となった場合に、列車を自動的に停止させることができる装置を設けなければならない。ただし、施設及び車両の構造等により、列車の安全な運転に支障を及ぼすおそれのない場合は、この限りではない。2
4 第五十四条第二項又は第五十七条の装置を設けた場合は、当該装置の開放スイッチは乗務員が容易に開放することができないものでなければならない。2
 
第八十条(内圧容器その他の圧力供給源及びその附属装置)
 内圧容器その他の圧力供給源及びその附属装置は、次の基準に適合するものでなければならない。
一 圧力の異常上昇を防止することができること。
二 水分等による機能低下を防止することができること。
三 振動及び衝撃により損傷しないこと。
 
第八十一条(車両の附属装置)
 車両には、種別に応じ、次の各号に掲げる車両の附属装置であって当該各号に定める基準に適合するものを設けなければならない。ただし、安全かつ円滑な車両の走行及び旅客の乗降を確保することができるものにあっては、この限りでない。
一 合図装置 乗務員相互間で確実に合図をすることができるものであること。
二 通話装置 乗務員相互間で円滑に通話をすることができるものであること。
三 気笛 危険の警告等を行うのに十分な音量を有するものであること。
四 車内放送装置 すべての客室に放送することができるものであること。
五 非常通報装置 非常時に旅客が容易に乗務員等へ通報することができるものであること。
六 非常停止装置 非常時に旅客が容易に車両を停止させることができるものであること。
七 標識灯 夜間に列車の前方及び後方からその列車の進行方向を確認することができるものであること。
2 前項第六号の附属装置は、車外に出た旅客が感電するおそれのある場合その他の旅客の安全に支障を及ぼすおそれのある場合は、設置してはならない。
 
第八十二条(車両の表記)
 車両には、車両の識別等ができるよう必要な表記をしなければならない。
 

第五節 車両の火災対策等

第八十三条(車両の火災対策)
 車両の電線は、混触、機器の発熱等による火災発生を防ぐことができるものでなければならない。
2 アーク又は熱を発生するおそれのある機器は、適切な保護措置が取られたものでなければならない。
3 旅客車の車体は、予想される火災の発生及び延焼を防ぐことができる構造及び材質でなければならない。
4 機関車(蒸気機関車を除く。)、旅客車及び乗務員が執務する車室を有する貨物車には、火災が発生した場合に初期消火ができる設備を設けなければならない。
 
第八十四条(火災報知設備)
 寝台車には、火災が発生した場合に自動的に報知する設備を設けなければならない。
 
第八十五条(停電時の装置の機能)
 運転及び旅客の安全を確保するため必要な装置は、主たる電源の供給が断たれた場合においても一定時間機能するものでなければならない。
 

第六節 動力車を操縦する係員が単独で乗務する列車等の車両設備

第八十六条(動力車を操縦する係員が単独で乗務する列車等の車両設備)
 動力車を操縦する係員が単独で乗務する列車は、第六十四条から前条までの規定によるほか、次の基準に適合するものでなければならない。
2 動力車を操縦する係員が運転操作不能となった場合に、列車を急速に停止させることができる装置を設けること。ただし、専ら地下式構造又は高架式構造の区間を第五十八条の装置により運転する列車にあっては、この限りではない。
2 地下式構造の区間その他の非常時に旅客の迅速な避難が困難な区間を走行する旅客車にあっては、第七十九条第三項の装置が作動したことを自動的に駅又は運転指令所に通報することができる装置の設置その他の非常時に旅客の安全を確保するための措置を講じたものであること。2 
2 動力車を操縦する係員が保安上必要な場合には、駅又は運転指令所と定位置で支障なく連絡することができること
2 旅客車にあっては、動力車を操縦する係員が定位置で容易に旅客用乗降口の扉の操作及び旅客への放送をすることができること。
2 動力車を操縦する係員が乗務しない列車は、第六十四条から前条までの規定によるほか、客室において旅客が運転指令所と相互に連絡ができる装置の設置その他の非常時に旅客の安全を確保するための措置を講じなければならない2 。ただし、係員が乗務することにより非常時に旅客の安全を確保することができる場合は、この限りでない。
 

第八章の二 その他の設備2

第八十六条の二(列車の運転状況を記録する装置)2
 列車、運転指令所その他の必要な箇所には、列車の運転状況を記録するための装置を設けなければならない。ただし、列車の最高速度が低い場合又は構造上の理由によりやむを得ない場合は、この限りでない。
 

第九章 施設及び車両の保全

第八十七条(施設及び車両の保全)
 線路及び列車等を運転するための電気設備(以下「電力設備」という。)は、列車等が所定の速度で安全に運転することができる状態に保持しなければならない。
2 本線及び本線上に設ける電車線路が一時前項の状態でないときは、列車等の速度の制限その他の列車等の運転の安全に必要な措置を講じ、特に注意を必要とする箇所は、これを監視しなければならない。
3 運転保安設備は、正確に動作することができる状態に保持しなければならない。
4 車両は、安全に運転することができる状態でなければ、これを使用してはならない。
 
第八十八条(新設した施設、新製した車両等の検査及び試運転)
 新設、改築、改造又は修理をした線路及び電力設備は、これを検査し、試運転を行った後でなければ、使用してはならない。ただし、軽易な改築、改造又は修理をした線路及び電力設備並びに本線に支障を及ぼすおそれのない側線にあっては、試運転を省略することができる。
2 災害その他運転事故が発生した線路及び電力設備で故障の疑いがあるもの並びに使用を休止した線路及び電力設備で列車等を運転する場合は、あらかじめ当該線路及び当該電力設備を検査し、必要に応じ、試運転を行わなければならない。
3 新設、改造又は修理をした運転保安設備は、これを検査し、機能を確かめた後でなければ、使用してはならない。災害その他運転事故が発生した運転保安設備で故障の疑いのあるもの及び使用を休止した運転保安設備を使用するときも、同様とする。
4 新製又は購入をした車両及び改造又は修繕をした車両は、これを検査し、試運転を行った後でなければ、使用してはならない。ただし、軽易な改造又は修繕をした場合は、試運転を省略することができる。
5 脱線その他の運転事故が発生した車両で故障の疑いがあるもの及び使用を休止した車両を使用する場合は、あらかじめ、当該車両を検査し、必要に応じ、試運転を行わなければならない。
 
第八十九条(本線及び本線上に設ける電車線路の巡視及び監視並びに列車の検査)
 本線及び本線上に設ける電車線路は、線区の状況及び列車の運行状況に応じ、巡視しなければならない。
2 本線において列車の安全な運転に支障を及ぼす災害のおそれのあるときは、当該線路を監視しなければならない。
3 列車は、その種類及び運行状況に応じ、車両の主要部分の検査を行わなければならない。
 
第九十条(施設及び車両の定期検査)
 施設及び車両の定期検査は、その種類、構造その他使用の状況に応じ、検査の周期、対象とする部位及び方法を定めて行わなければならない。
2 前項の定期検査に関する事項は、国土交通大臣が告示で定めたときは、これに従って行わなければならない。
 
第九十一条(記録)
 第八十八条及び前条の規定により施設又は車両の検査並びに施設又は車両の改築、改造、修理又は修繕を行ったときは、その記録を作成し、これを保存しなければならない。
 

第十章 運転

第一節 積載制限等

第九十二条(車両の積載制限等)
 車両には、当該車両の最大積載量を超えて物を積載してはならない。
2 車両に物を積載する場合は、重量の負担が均等となるように努め、運転中の動揺により、崩落、転倒等のおそれのないようにしなければならない。
車両には、車両限界を超えて物を積載してはならない。ただし、特大の貨物を輸送する場合において、その積載状態が車両の運転に支障を与えるおそれのないことを確かめたときは、この限りでない。
 
第九十三条(危険品積載時の表示)
 危険品を積載している車両には、両側の見やすい箇所に危険品を積載している旨の表示をしなければならない。
 

第二節 列車の運転

第九十四条(列車の最大連結両数等)
 列車の最大連結両数は、車両の性能、構造及び強度並びに施設の状況に応じたものとしなければならない。
2 危険品のみを積載している車両(密閉式構造の車両等を除く。)を列車に連結する場合は、旅客及び乗務員に危害を及ぼさないよう適切な措置を講じなければならない。
 
第九十五条(列車のブレーキ)
 二両以上の車両で組成する列車には、組成した全ての車両に連動して作用し、かつ、組成した車両が分離したときに自動的に作用するブレーキを使用しなければならない。ただし、列車の安全な運転に支障を及ぼすおそれのない措置を講じた場合は、この限りでない。
2 列車を組成したとき又は列車の組成を変更したときは、ブレーキを試験し、その作用を確認しなければならない。
 
第九十六条(列車の制動力)
 列車の制動力は、線路のこう配及び運転速度に応じ、十分な能力を有するものでなければならない。
 
第九十七条(停車場の境界)
 停車場内外で運転取扱いを異にする場合は、容易に認識することができる方法により、停車場内外の境界を示さなければならない。
 
第九十八条(停車場外の本線の運転)
 車両は、列車としてでなければ停車場外の本線を運転してはならない。ただし、車両の入換えをするときは、この限りでない。
 
第九十九条(列車の運転時刻)
 列車の運転は、必要に応じ、停車場における出発時刻、通過時刻、到着時刻等を定めて行わなければならない。
2 列車の運行が乱れたときは、所定の運行に復するように努めなければならない。
 
第百条(列車出発時の事故防止)
 係員は、旅客が乗降扉に挟まった状態その他旅客が危険な状態にあると認めたときは、列車を出発させてはならない。
 
第百一条(列車間の安全確保)
 列車は、列車間の安全を確保することができるよう、次に掲げるいずれかの方法により運転しなければならない。ただし、停車場内において、鉄道信号の現示若しくは表示又はその停車場の運転を管理する者(管理する者があらかじめ指定する者を含む。)の指示に従って運転する場合は、この限りでない。
一 閉そくによる方法
二 列車間の間隔を確保する装置による方法
三 動力車を操縦する係員が前方の見通しその他列車の安全な運転に必要な条件を考慮して運転する方法
2 救援列車を運転する場合又は工事列車がある区間に更に他の工事列車を運転する場合であって、その列車の運転の安全を確保することができる措置を別に定めたときは、前項の規定によらないことができる。
 
第百二条(列車の操縦位置)
 動力車を操縦する係員は、最前部の車両の前頭において列車を操縦しなければならない。ただし、列車の安全な運転に支障を及ぼすおそれのない場合は、この限りでない。
 
第百三条(列車の運転速度)
 列車は、線路及び電車線路の状態、車両の性能、運転方法、信号の条件、列車防護の方法等に応じ、安全な速度で運転しなければならない。
 
第百四条(列車の退行運転)
 列車は、退行運転をしてはならない。ただし、列車が退行する範囲内に後続列車を進入させない措置その他列車の安全な運転に支障を及ぼさない措置を講じた場合は、この限りでない。
 
第百五条(列車の同時進入進出)
 二以上の列車が停車場に進入し、又は停車場から進出する場合において、過走により相互にその進路を支障するおそれがあるときは、これらの列車を同時に運転してはならない。
 
第百六条(列車防護)
 列車の停止を必要とする障害が発生した場合は、列車の非常制動距離を考慮し、停止信号の現示その他の進行してくる列車を速やかに停止させるための措置を講じなければならない。
 
第百七条(線路の閉鎖)
 工事、保守等のため線路を閉鎖する必要が生じたときは、当該区間に列車等(工事、保守等に用いる車両を除く。)を進入させない措置を講じなければならない。
 
第百八条(列車の危難防止)
 暴風雨、地震等により列車に危難の生ずるおそれがあるときは、その状況を考慮し、列車の運転の一時中止その他の危難防止の措置を講じなければならない。
 

第三節 車両の運転

第百九条(入換え)
 車両の入換え(列車の入換えを含む。次項において同じ。)は、合図によって行う方法その他の安全な方法によらなければならない。
2 車両の入換えは、列車の運転に支障を及ぼさないように行わなければならない。
 
第百十条(車両の留置)
 車両を留置する場合は、自動又は転動を防止するために必要な措置を講じなければならない。
 
第百十一条(危険品積載車両の危険防止)
 危険品を積載している車両を留置する場合には、周囲の状況を考慮して、当該車両を他の線路に移す等危険防止の措置を講じなければならない。
 

第四節 鉄道信号

第百十二条(鉄道信号と運転の関係)
 鉄道信号の現示又は表示により列車等を運転する場合は、鉄道信号が現示又は表示する条件に従わなければならない。
 
第百十三条(停止を指示する信号の現示)
 列車等は、停止を指示する信号の現示がある場合は、停止すべき位置の外方に停止しなければならない。ただし、停止すべき位置までに停止することができない距離で停止を指示する信号の現示があったとき及び停止すべき位置が表示されないときは、速やかに停止しなければならない。
2 前項の規定により停止した列車等は、進行を指示する信号の現示又は進行の指示があるまで進行してはならない。ただし、運転方法を第百一条第一項第三号に掲げる方法に変更する場合は、この限りでない。
 
第百十四条(信号現示の不正確)
 信号を現示すべき所定の位置に信号の現示がないとき又はその現示が確かでないときは、列車等の運転に最大の制限を与える信号の現示があるものとみなさなければならない。
 
第百十五条(信号の兼用禁止)
 信号は、二以上の線路又は二種以上の目的に兼用してはならない。ただし、列車等の安全な運転に支障を及ぼさない場合は、この限りでない。
 
第百十六条(進行を指示する信号の現示の条件)
 進行を指示する信号は、列車等の進路に支障がないときに限り、現示することができる。
 
第百十七条(その他信号の現示に関する事項)
 第百十三条から前条までに定めるもののほか、信号は、係員がその現示により列車等を運転するときの条件を的確に判断することができ、かつ、列車等の運転の安全を確保することができるよう、その種類、現示の方式及び条件並びに取扱いを定めて用いなければならない。
 
第百十八条(進行を指示した場合の処置)
 列車等に対して進行を指示する信号が現示されているときは、その進路を支障してはならない。
 
第百十九条(合図及び標識)
 合図及び標識は、列車等の運転の安全を確保することができるよう、その種類及び表示の方式を定めて用いなければならない。
 

第十一章 特殊鉄道

第百二十条(特殊鉄道)
 この省令に定めるもののほか、懸垂式鉄道、座式鉄道、案内軌条式鉄道、無軌条電車、鋼索鉄道、浮上式鉄道その他特殊な構造を有する鉄道の施設及び車両の構造及び取扱いについては、国土交通大臣が告示で定めるところにより、この省令の規定の一部の適用を除外し、その他必要な特例を定めることができる。
 

附則

この省令は、平成十四年三月三十一日から施行する。
 

附則(平成16年12月2日国土交通省令第96号)抄

第一条(施行期日)
この省令は、公布の日から施行する。
 

附則(平成18年3月24日国土交通省令第13号)

第一条(施行期日)
この省令は平成十八年七月一日から施行する。
 
第二条(経過措置)
 平成二十年六月三十日までに完成した施設又は車両であって、第一条の規定による改正後の鉄道に関する技術上の基準を定める省令(以下「新省令」という。)第五十七条、第七十九条第三項又は第八十六条の二の規定に適合しないものについては、この省令の施行後最初に行う改築又は改造の工事が完成するまでの間は、なお従前の例によることができる。
2 前項の規定にかかわらず、平成二十年六月三十日までに完成した施設又は車両であって、新省令第五十七条、第七十九条第三項又は第八十六条の二の規定に適合しないもののうち、次のいずれかに該当するものについては、この省令の施行後最初に行う改築若しくは改造の工事が完成する日又は平成二十八年六月三十日までのいずれか早い日までの間は、なお従前の例によることができる。
旅客列車の一時間当たりの最大運転本数が往復十本以上の線区の施設又はその線区を走行する車両
運転速度が百キロメートル毎時を超える車両又はその車両が走行する線区の施設
 

附則(平成18年7月14日国土交通省令第78号)抄

第一条(施行期日)
この省令は、運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律の施行の日から施行する。
 

附則(平成18年12月15日国土交通省令第110号)抄

第一条(施行期日)
この省令は、法の施行の日(平成十八年十二月二十日)から施行する。
 

附則(平成24年7月2日国土交通省令第69号)

(施行期日)
この省令は、平成二十四年八月一日から施行する。
 
(経過措置)
この省令の施行前に工事に着手し、又は完成した施設であって第一条の規定による改正後の鉄道に関する技術上の基準を定める省令第五十一条の二(他の省令において準用する場合を含む。)の規定に適合しないものについては、この省令の施行後最初に行う改築又は改造の工事が完成するまでの間は、なお従前の例によることができる。

鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令第一条第三号の規定による廃止前の普通鉄道構造規則第四十四条第二項、第四十六条から第四十八条まで、第六十条及び第百三十九条第二項の基準を定める告示

(昭和62年3月23日運輸省告示第177号)

 普通鉄道構造規則(昭和六十二年運輸省令第十四号)第十二条、第十五条第一項、第十六条第一項、第二十八条第二項、第二十九条第二項、第三十条第二項、第四十四条第二項、第四十六条から第四十八条まで及び第六十条の規定に基づき、普通鉄道の施設に関する技術上の基準の細目を定める告示を次のように定める。

 

第一条(踏切保安設備)
 専用鉄道の施設の技術上の基準を定める省令(昭和六十二年運輸省令第十七号)附則第四項の規定によりなお効力を有するものとして読み替えて適用される専用鉄道の施設の技術上の基準を定める省令第二条において準用する鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令(平成十四年国土交通省令第十九号)第一条第三号の規定による廃止前の普通鉄道構造規則(以下「規則」という。)第四十四条第二項の告示で定める基準は、次条から第四条までに定めるとおりとする。

 

第二条(踏切遮断機)
 踏切遮断機の遮断装置は、次の基準に適合するものでなければならない。
 線路の両側において、踏切道の通行をその幅員の全体にわたり遮断するものであること。
 踏切道に向かつて左側に設けること。ただし、施設の状況等に照らしやむを得ない場合は、この限りでない。
 遮断かんは、次に掲げるところによること。
 遮断時には、道路面上〇・八メートルの高さ(二段型遮断装置の上側の遮断かんにあつては、下側の遮断かんの上方)において水平となることを標準とすること。
 遮断時以外には、道路面上の有効高さが四・五メートル以上となること。
 黄色及び黒色により帯状に塗装されていること。
 二個以上の警告装置(赤色灯又は赤色の反射剤を用いたものに限る。)を通行者から見やすい位置に設けること。
 大型遮断装置の遮断かんにあつては、遮断時に踏切道における車道を遮断する部分の鉛直方向の長さは、〇・一メートル以上であること。
 踏切遮断機の警報装置は、次の基準に適合するものでなければならない。
 線路の両側において、通行者に警報を発するものであること。
 踏切道に向かつて左側に設けること。ただし、施設の状況等に照らしやむを得ない場合は、この限りでない。
 二個以上の赤色せん光灯を設けること。
 前号の赤色せん光灯は、警報装置の動作中は交互に点滅し、そのせん光の見通し距離が四十五メートル(地形上等により道路を通行する自動車等が三十五キロメートル毎時を超える速度で接近することができない踏切道にあつては、二十二メートル)以上であること。
 クロスマークを設けること。
 黄色及び黒色により帯状に塗装されていること。
 警音を発する装置を設けること。
 二以上の線路に係る踏切道にあつては、列車進行方向指示器を設けること。
 オーバーハング型警報装置にあつては、赤色せん光灯を踏切道における車道面上の有効高さが四・五メートル以上となるよう設置すること。
3 踏切遮断機は、次に掲げるところにより動作するものでなければならない。
 列車又は車両の接近により自動的に動作を開始するものであること。ただし、踏切警手が配置されている踏切道又は停車場内の踏切道若しくは停車場に近接する踏切道(以下「手動踏切道等」という。)にあつては、この限りでない。
 連続閉電路式又はこれと同等以上の性能を有する制御方式であること。ただし、手動踏切道等にあつては、この限りでない。
 警報の開始から遮断動作の終了までの時間は、十五秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、十秒以上であること。
 警報の開始から遮断動作の開始までの時間は、通行者の通行に支障を及ぼすおそれのないものであること。この場合において、道路の両側に遮断かんを設けたものにあつては、踏切道に向かつて右側の遮断装置は、踏切道に向かつて左側の遮断装置の遮断動作が終了した後に遮断動作を開始するものであること。
 遮断動作の終了から列車又は車両の到達までの時間は、二十秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、十五秒以上であること。
 列車及び車両ごとの警報の開始から到達までの時間は、当該列車又は車両の速度等により大きく異なるものでないこと。
 列車又は車両の通過後に遮断状態を解除する動作を開始するものであること。
 列車又は車両の過走により支障を生ずるおそれのある踏切道にあつては、当該列車又は車両が過走により踏切道に到達する前に余裕を持つて遮断動作を終了するものであること。
 
第三条(踏切警報機)
 前条第二項の規定は、踏切警報機の警報装置について準用する。
 踏切警報機は、次に掲げるところにより動作するものでなければならない。
 列車又は車両の接近により自動的に動作を開始するものであること。ただし、手動踏切道等にあつては、この限りでない。
 連続閉電路式又はこれと同等以上の性能を有する制御方式であること。ただし、手動踏切道等にあつては、この限りでない。
 警報の開始から列車又は車両の到達までの時間は、三十秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、二十秒以上であること。
 列車及び車両ごとの警報の開始から到達までの時間は、当該列車又は車両の速度等により大きく異なるものでないこと。
 列車又は車両の通過後に警報を停止するものであること。
 
第三条の二(踏切警報時間制御装置)
 踏切警報時間制御装置は、次の基準に適合するものでなければならない。
 列車又は車両の種類又は速度を識別することにより、自動的に踏切遮断機又は踏切警報機(以下この条において「踏切遮断機等」という。)の動作の開始時期を制御するものであること。
 前号に規定する制御を列車又は車両の速度を識別することにより行うものにあつては、次に掲げるところによること。イ二以上の位置でそれぞれ速度を識別するものであること。ロ踏切遮断機等の最外方にある識別位置(列車又は車両の速度を識別する位置をいう。以下同じ。)以外の識別位置は、列車又は車両が当該識別位置の外方にある識別位置を踏切遮断機等を動作させることなく通過し、その後加速した場合においても踏切遮断機等を安全に動作させることができるものであること。
 踏切警報時間制御装置の機能に障害が発生した場合においても踏切遮断機等の動作に支障を及ぼすおそれのないものであること。
 
第四条(踏切支障報知装置)
 踏切支障報知装置は、次の基準に適合するものでなければならない。
 発炎信号、発光信号又は発報信号を現示する装置(以下「現示装置」という。)を設けたものであること。ただし、近接する主信号機に停止信号を現示するものにあつては、この限りでない。
 操作装置又は障害物検知装置により現示装置を動作させることができるものであること。
 発炎信号の信号炎管その他の現示装置の重要部分は、多重化したものであること。
 発炎信号を現示する装置を設けた踏切支障報知装置にあつては、近接する主信号機に停止信号を現示するもの又は列車若しくは車両の接近により再び発炎信号を現示するものであること。
 前項第二号の操作装置は、次の基準に適合するものでなければならない。
   線路の両側に押しボタン、開閉器等の操作スイッチを設けること。ただし、単線に係る幅員の狭い踏切道又は操作スイッチを専ら踏切警手が取り扱う踏切道にあつては、線路の片側の操作スイッチを省略することができる。
   前号の操作スイッチは、次に掲げるところによること。
 踏切道付近であつて容易に取り扱うことができる箇所に設けること。
 双子接点を有するもの又はこれと同等以上の性能を有するものであること。
 保留機能を有するものであること。
 夜間においても容易に識別することができるものであること。
 取扱方法を明示したものであること。
   復帰スイッチを設けること。ただし、列車又は車両の通過により自動的に保留状態を解除するものにあつては、この限りでない。
   前号の復帰スイッチは、係員以外の者が操作することができないものであること。
 第一項第二号の障害物検知装置は、次の基準に適合するものでなければならない。
 閉電路式又はこれと同等以上の性能を有する制御方式であること。
 自動車が踏切道を支障し、かつ、列車又は車両が当該踏切道に接近した場合に、光、電磁波、音波等により自動的にこれを検知するものであること。
 原則として踏切道に係る線路の建築限界内にある自動車に対して動作するものであること。
 踏切道に対する支障が解消した場合に自動的に現示装置の動作を解除するものであること。
 踏切道を通過中の列車又は車両に対して動作しないものであること。
 雪、列車の振動等により機能に障害が発生するおそれのないものであること。
 
第五条(車止装置)
 規則第四十六条の告示で定める基準は、次のとおりとする。
 本線又は安全側線の終端には、砂利盛り又はこれと同等以上の緩衝機能を有する車止装置を設けること。ただし、十分な長さの過走余裕距離を有する場合その他正当な理由がある場合には、車両の車体又は連結器を受け止める車止装置を設けることができる。
 安全側線以外の側線の終端には、線区の状況等に応じ車両の連結器、車体又は車輪を受け止める車止装置を設けること。
 
第六条(車両の逸走等の防止)
 規則第四十七条の告示で定める基準は、次に掲げる箇所に安全側線を設けることとする。ただし、側線であつて、地形上等のためやむを得ない箇所にあつては脱線転てつ器、専ら留置中の車両の転動により危害を生ずるおそれのある箇所にあつては脱線転てつ器又は車輪止め、トラバーサ又は転車台に向かつて車両が逸走するおそれのある箇所にあつては車輪止めを設けることができる。
一   二線が接続し、又は交差する箇所
二   可動橋のある箇所
 
第七条(ガードレール)
 規則第四十八条の告示で定める基準は、次のとおりとする。
 曲線半径の小さい曲線又は急こう配の区間にある曲線には、脱線防止レール又は脱線防止ガード(落石又は積雪の多い箇所その他脱線防止レール又は脱線防止ガードを設けることが適当でない箇所(以下「落石箇所等」という。)にあつては、安全レール)を設けること。
 無道床橋りようには、脱線防止レール、脱線防止ガード又は橋上ガードレール(落石箇所等にあつては、橋上ガードレール)を設けること。
 高築堤には、脱線防止レール、脱線防止ガード又は安全レール(落石箇所等にあつては、安全レール)を設けること。
 交通の頻繁な踏切道には、踏切ガードレールを設けること。
 
第八条(変電所からのき電を停止させる装置)
 規則第六十条ただし書の告示で定める装置は、次のとおりとする。
 いずれの列車又は車両内からも変電所又は電力指令所に連絡通報することができる装置及び変電所のき電側に設けた連絡遮断装置であつて、き電区域にき電する変電所のき電を停止することができるもの
 変電所のき電側に設けた自動遮断装置又は故障選択装置であつて、電車線路がアーク接地した場合に当該変電所のき電回路に流れる電流(以下「故障電流」という。)を検出し、そのき電を停止することができるもの
 変電所のき電側に設けた自動遮断装置又は故障選択装置及び連絡遮断装置であつて、き電区域にき電するいずれかの変電所において故障電流を検出し、当該き電区域にき電するすべての変電所のき電を停止することができるもの
 
第九条(場内信号機)
 軌道建設規程(大正十二年内務省・鉄道省令)附則第三項の規定によりなお効力を有するものとして読み替えて適用される軌道建設規程第三十三条において準用する鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令第一条第三号の規定による廃止前の普通鉄道構造規則第百三十九条第二項ただし書の告示で定める基準は、当該場内信号機が現示する信号に係る進路を灯列、数字又は簡潔な信号若しくは文字により現示することができるものであることとする。
 前項の基準に適合する進路表示機を附属させた場内信号機は、次の表の上欄に掲げる場内信号機の区分ごとに、それぞれ同表下欄に掲げる進路に共用することができるものとする。
場内信号機 進路
一 発光ダイオード式の進路表示器を附属させた場内信号機 全部の進路
二 前号に掲げる場内信号機以外の場内信号機

次に掲げる進路
イ 終端となる線路にあつては、全部の進路
ロ 通過する列車のない停車場の線路又は通過する列車のある停車場の当該通過列車を走行させる線路以外の線路にあつては、三進路以内の進路
ハ 通過する列車のある停車場の当該通過列車を走行させる線路にあつては、二進路(出発信号機に対する通過信号機を設けた場合又は外方の常置信号機に進路予告機を設けた場合は、三進路)以内の進路

 

附則
 この告示は、昭和六十二年四月一日から施行する。
 
附則(平成元年三月三一日運輸省告示第一四九号)
 この告示は、公布の日から施行する。
 この告示の施行前に工事に着手し、又は完成した施設であつて改正後の第十七条第四項、第七項又は第九項の規定に適合しないものについては、これらの規定にかかわらず、なお従前の例による。
 
附則(平成元年一〇月二六日運輸省告示第五九三号)
 この告示は、公布の日から施行する。
 
附則(平成一〇年三月二三日運輸省告示第一〇六号)
 この告示は、公布の日から施行する。
 
附則(平成一四年三月八日国土交通省告示第一六三号)
 この告示は、平成十四年三月三十一日より施行する。

鉄道に関する技術上の基準を定める省令第二条第二十号の危険品を定める告示

(昭和六十二年三月二十日運輸省告示第百六十九号)

 鉄道運転規則(昭和六十二年運輸省令第十五号)第二条第一項第四号の規定に基づき、鉄道運転規則第二条第一項第四号の危険品を定める告示を次のように定める。

 

鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成十三年国土交通省令第百五十一号)第二条第二十号の告示で定める危険品は、次の表のとおりとする。

種類 品目
高圧ガス アセチレンガス、天然ガス、液体空気、液体窒素、液体酸素、液体アンモニア、液体塩素、液化プロパンその他圧縮し、又は液体化したガス
軽火工品 マツチ、導火線、電気導火線、信号炎管、信号火せん、煙火、発煙剤その他これらに類するもの
油紙・油布類 油紙又は油布とその製品、擬ウール絨とその製品及び動植物性繊維とその製品で動植物油脂ろうの含有量が5%を超えるもの
可燃性液体 鉱油原油、揮発油、ソルベントナフサ、ベンゼン、トルエン、キシレン、メタノール、アルコール(変性アルコールを含む。)、アセトン、二硫化炭素、塗料希釈剤、ニトロベンゼン、ニトロトルエンその他可燃性液体及び可燃性液体の製品で引火点25℃以下のもの
可燃性固体 金属カリウム、金属ナトリウム、カリウムアマルガム、ナトリウムアマルガム、マグネシウム(板、棒又は塊状のものを除く。)、アルミニウム粉、黄リン、硫化リン、ニトロセルローズ、硝石、硝酸アンモニウム、ジニトロ化合物、トリニトロ化合物(爆発の用に供するものを除く。)、ピクリン酸その他可燃性固体の製品で可燃性固体の含有量が10%を超えるもの
吸湿発熱物 ハイドロサルハイト、生石灰、低温焼成ドロマイト、リン化カルシウム及びカーバイド
酸類 硝酸、硫酸、塩酸、塩化スルホン酸(塩化スルフリルを含む。)、沸化水素酸、鉛蓄電池(薬液を入れたものに限る。)その他強酸類で酸類の含有量が10%を超えるもの
酸化腐食剤 塩素酸カリウム、塩素酸バリウム、塩素酸ナトリウム、過塩素酸アンモニウム、塩化リン、過酸化ナトリウム、過酸化バリウム、さらし粉、臭素その他酸化腐食剤及び酸化腐食剤製品で酸化腐食剤の含有量が30%を超えるもの
揮発性毒物 硫酸ジメチル、フェロシリコン、硫黄、クロルピクリン、四アルキル鉛とその製剤、エチルパラチオン、メチルパラチオン及び農薬(クロルピクリン、エチルパラチオン、メチルパラチオン、シュラーダン、メチルジメトン、モノフルオール酢酸アミド及びテトラエチルピロホスフェイトを含有する製剤に限る。)

 

附則
 この告示は、昭和六十二年四月一日から施行する。
 当分の間、本則中「鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成十三年国土交通省令第百五十一号)第二条第二十号」とあるのは、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成十三年国土交通省令第百五十一号)第二条第二十号及び鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令(平成十四年国土交通省令第十九号)第一条第四号の規定による廃止前の鉄道運転規則第二条第一項第四号」と読み替えるものとする。
 
附則(平成一四年三月八日国土交通省告示第一六三号)
 この告示は、平成十四年三月三十一日から施行する。
 

更新記録

平成30年(2018年)5月30日 公布から平成24年7月2日国土交通省令第69号による改正までの記載完了。
平成30年(2018年)9月4日 章、節及び附則の段落分けを修正
平成30年(2018年)10月29日 「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の施行及びこれに伴う国土交通省関係省令の整備等に関する省令第一条第三号の規定による廃止前の普通鉄道構造規則第四十四条第二項、第四十六条から第四十八条まで、第六十条及び第百三十九条第二項の基準を定める告示」及び「鉄道に関する技術上の基準を定める省令第二条第二十号の危険品を定める告示」を掲載

脚注

  1. 平成24年7月2日国土交通省令第69号第一条により、(第五十二条・第五十三条)を「第五十一条の二〜第五十三条」に更改。
  2. 平成18年3月24日国土交通省令第13号第一条による新設
  3. 平成18年12月15日号外国土交通省令第110号附則第四条により、「移動円滑化」を「移動等円滑化」に更改。
  4. 平成18年7月14日号外国土交通省令第78号第15条により、「鉄道事業者は、運転事故、災害等が発生した場合における応急復旧のための体制をあらかじめ定めておかなければならない。」を「削除」に更改。
  5. 平成16年12月2日国土交通省令第96号附則第四条により、「第四条第一項第一号から第四号まで及び第八号」を「第四条第一項第一号から第八号まで及び第十二号」に更改。
  6. 平成18年7月14日号外国土交通省令第78号第十五条により、削除。

Posted by Michinoku-Lab